ベッテルは今年もタイトル遠し...。原因はまたもフェラーリのお家騒動か (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ハミルトンは、モンツァでマシンのフィーリングが大きく向上し、あれがターニングポイントだったと言う。マシンの空力アップデートもさることながら、空力とタイヤの使い方のマッチングを理解することが大きな進歩につながったと。リアブレーキの熱をホイール内側に逃がし、タイヤを内側から温めるブレーキドラムカバーなど、細かなアップデートはこれに応じたものだった。

「シーズン中盤戦を迎えたころ、僕らはまだマシンのことがきちんと理解できず、タイヤの使い方がはっきりと掴めないでいた。しかし僕らは、このマシンのことを解明したんだ。エンジンが向上し、空力効率が向上し、マシンのスタビリティも向上した。

 そして何より、僕らのマシンに対するフィーリングが向上した。モンツァで今シーズン最高の仕上がりになった。あれがターニングポイントだったね。今の僕らはマシンの持っている力が100だとすれば、僕らは102を引き出しているような状態だ」

「パワーでは依然としてフェラーリがやや上回っている」とウォルフは言う。しかし、ベルギーGPから投入されたスペック3でその差はかなり縮まったという。

「フェラーリのパワーユニットは非常にパワフルだし、我々の目標だ。今もパワーとストレートライン速度で向こうがアドバンテージを持っている。ただし、シーズン序盤や中盤ほどの差はなくなっている。その理由はわからない。我々がスペック3でパフォーマンスを向上させたことも事実だが、それはひとつのピースでしかない」

 フェラーリの速さが失われたというよりも、後半戦に入ってからのメルセデスAMGの進歩がすさまじかった。

 フィアット会長のセルジオ・マルキオンネが急逝して以降、フェラーリ内部ではお家騒動が勃発しているという。事実、首脳陣は次の政権を巡って、政治的な駆け引きを繰り広げているようだ。

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