ウイング立てて直線伸びず。なのにアロンソはホンダ批判という理不尽 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 金曜には抑えているエンジン出力を、土曜には最大限に絞り出す――。もし金曜のままのセットアップで走っていれば、最高速はさらに伸びていたはずだったのに、これだけ下がってしまうほどウイングを立て、巨大なガーニーフラップをつけて車体の前傾姿勢を強めたのだ。

 マクラーレンのエンジニアリングディレクターを務めるマット・モリスは、それが最速タイムを記録するためのベストな選択だったと説明する。

「ここはストレートスピードとインフィールドのバランスが非常に重要で難しいサーキットだから、そのバランスを探ったんだ。当然ながら、決勝での競争力を考えると最高速はほしい。しかしダウンフォースを削ると、セクター2を速く走ることができない。結果的に、土曜日に向けてダウンフォースをつけることが、我々にとってはベストな妥協点だとわかったんだ」

 マクラーレンの車体はドラッグ(空気抵抗)が大きい。その事実はモリスも認める。しかし、それは車体が持つ特性ではなく、速さを引き出すためにウイングを立てているからだと説明する。

「それは我々がダウンフォースをつけているからだ。不思議なことを言っているように思われるかもしれないけど、もしもっとパワーがあればダウンフォースを削り、ストレートで稼ぐ方向のセットアップにすることもできるんだ。しかし現状の我々は、ダウンフォースを削ったとしてもストレートで稼ぐことができない。その一方で、コーナーでもロスすることになってしまう。だから、パワーがないからこそダウンフォースをつけてコーナーで稼ぐほうにいくしかないんだ」

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