ホンダが「どうせダメ」といわれたイギリスGPで示した0.3秒の進化 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 パワーサーキットのシルバーストンでは、オーストリアGP以上に苦労すると予想されていた。チーム自身もそう思っていた。

 しかし、ホンダの長谷川祐介F1総責任者は違った。

「いや、スペック3を投入した時点から相対的なパフォーマンスとしては去年と同じくらいの位置で戦えるようになるとは思っていましたから、このくらいはいけるかなと思っていました。もちろん、パフォーマンスはもう一段上がらなきゃいけませんし、(アロンソは)ペナルティで降格になってしまうというのは我々の課題ではあります」

 Q2からのQ3進出争いを見れば、フォースインディア以下の中団勢は常に0.5秒以内にひしめく大接戦になっている。実際、オーストリアGPではスペック2で走ったアロンソが0.052秒差でQ3進出を逃し、イギリスGPではバンドーンが0.088秒差でQ3進出を果たしている。スペック3がもたらすラップタイムにして0.3秒の進化は、中団争いを抜け出すうえで極めて大きな意味を持つ0.3秒だった。

 低速コーナーから立ち上がる長いストレートでは、パワーの差がはっきりと出る。しかし、中高速コーナーから続くストレートでは、それほど大きな差は出ない。今年のマシン規定でコーナーが速くなったことは、マクラーレン・ホンダにとっては追い風だった。

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