トヨタの悲願達成ならず。中嶋一貴が語ったル・マン24時間のラスト3分 (3ページ目)

  • 川喜田研●取材・文 text by Kawakita Ken 写真提供:トヨタ自動車

「ポルシェの最終ドライバーはチームの中で一番速いニール・ジャニでしたし、後ろとの差はわずか30秒。結構プレッシャーがキツイなぁと思っていましたが、実際に走りだしてみると、逆にポルシェとの差がジワジワと広がり始めてきたし、あとはもう、レースが終わるまでともかく無事に、無事に……と祈り続けていました。残り11周、10周、9周……と数えてきて、4周まで数えたのは覚えているんですけど……」(中嶋)

 ところが「残り2周、チームから無線で『クルマに優しく、安全にドライブしろ』と言われたタイミングでポルシェコーナーに入って、アクセルペダルを踏んだら全然パワーがなくて」と中嶋が言うような状態に陥る。ノロノロと最終コーナーを立ちあがったTS050 HYBRIDは、ピットストレート上、トヨタチームのピットの目の前で静かにストップしてしまった。

ゴールまであとわずかのところでトラブルに見舞われたトヨタ5号車ゴールまであとわずかのところでトラブルに見舞われたトヨタ5号車 その後、辛うじて走り出すことに成功したものの、その間にライバルのポルシェ2号車がトップでチェッカーを受けて逆転優勝。トヨタの6号車が2位に入り、3位はアウディの8号車(ルーカス・ディグラッシ、ロイク・デュバル、オリバー・ジャービス組)という顔ぶれが表彰台を獲得した。

 勝利をほぼ手中に収めていたはずのトヨタ5号車は、チェッカーフラッグ提示から6分以内にゴールしなければならないという規定を満たせずリタイア扱いに終わった。

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