有馬記念でタイトルホルダーの大逃げは見られるのか。凱旋門賞惨敗の影響を探る (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

「今年の凱旋門賞は、ぬかるんだ特殊の馬場で行なわれました。そのため、日本から参戦した4頭はすべて、ふた桁着順に沈んでしまいました。まったく経験のない極悪馬場で、ちゃんと走れと言っても無理な話ですよ。だから、凱旋門賞の敗戦自体はノーカウントでいいと思います。

 レースにおけるダメージについても、そこまで心配しなくていいでしょう。帰国後、しばらく静養して、11月半ばには帰厩していましたからね。もし大きなダメージが残っていたとすれば、あんなに早くは帰厩できません。まったくダメージがなかったとは言いませんが、タイトルホルダーのパフォーマンスに深刻な影響を与えるほどのものはなかった、と言っていいと思います」

 凱旋門賞から有馬記念へ直行というローテーションについても、2013年のオルフェーヴルが同様のローテで快勝。昨年も、凱旋門賞帰りのディープボンドとクロノジェネシスが、2着、3着と好走していることを考えれば、大きなマイナスにはならないのではないか。

 また、今年はタイトルホルダーにとって、展開の利がありそうだ。

 というのも、パンサラッサやジャックドールといった快速馬が先日の香港国際競走に出走。今年の出走馬にはこれといった逃げ馬がおらず、いわゆる同型不在の状況ゆえ、タイトルホルダーの"一人旅"が見込めるのだ。

 仮に捨て身で競りかけてくる馬がいたとしても、宝塚記念がそうだったように、タイトルホルダーは2番手でも折り合える。そうした状況を踏まえて、先述の専門紙記者もタイトルホルダーの勝ち負けに太鼓判を押す。

「緩いペースで逃げると、相手もラクですから、最後はキレる馬にやられる可能性はあります。そうならないためにも、相手が終(しま)いの脚を使えなくなるような、ある程度のペースで逃げることが大事。そういったレースをすれば、この馬が勝つ確率はかなり高いと見ています」

 昨年の有馬記念は、5着に敗れたタイトルホルダー。しかしそれは、いくつかの不利な条件が重なったことが原因だ。

 ひとつは、その前の菊花賞を圧勝した疲れがとりきれていなかったこと。しかも、逃げ・先行タイプには不利とされる大外枠からのスタートだった。

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