最も注目されている良血馬ラインベック
「母アパパネに一番似ている」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第5回:ラインベック

 例年に違わず、今年の2歳馬にも良血馬がズラリ。直近のデビューに向けて、スタンバイしている馬も数多くいる。

 その中でも、血統背景からひと際注目を集めているのが、栗東トレセンの友道康夫厩舎に所属するラインベック(牡2歳/父ディープインパクト)である。

父母合わせてGI12勝の子となるラインベック父母合わせてGI12勝の子となるラインベック 同馬の父と母の、現役時代のGI勝利数を合計すると、なんと12勝。この世代の中では、随一の良血馬と言えるだろう。

 母アパパネは、2009年にデビューすると、同年のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)を制して2歳女王の座に就いた。その実力は3歳になって、さらにレベルアップ。史上3頭目となる牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)を達成した。

 そして古馬となっても、GIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)を制覇。ひとつ年上の名牝ブエナビスタをクビ差で押えて、5度目の勲章を手にした。

 片や、父はディープインパクト。言わずと知れた歴史的な名馬だ。史上6頭目の三冠馬(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)で、GI通算7勝を挙げている。引退後も、種牡馬としてリーディングを独走中である。

 そんな名馬2頭から生まれたラインベック。育成が行なわれたノーザンファーム空港牧場の佐々木敦吏氏は、同馬の素質をこう表現する。

「動きを見ていると、スピード能力が相当高そうですね。体は決して大きいタイプではないのですが、ストライドが広く、ダイナミックで、跳びの大きな走りを見せます。ぜひクラシックの舞台にいってほしい1頭です」

 ちなみに、ラインベックはアパパネの3頭目の産駒。上の兄2頭も、いずれもディープインパクトとの仔で、どちらも勝ち星を挙げて、ある程度の能力の高さは示している。

 ただ、2頭ともクラシック出走は叶わず、いまだ重賞制覇などの結果は残していない。それら兄たちとラインベックを比較して、佐々木氏はこんな期待を口にした。

「(ラインベックは)兄たちと比べると、コンパクトにまとまっていますね。母のアパパネに一番似ている印象です。兄たちはやんちゃな面があり、ラインベックもその点は似ています。ただ、それはこの血統特有のもので、最初からケアしています。調教も従順で、心配はないですね」

「アパパネに一番似ている」というコメントから、同馬への期待の大きさが伝わってくる。同時に、我々の同馬に対する期待も一段と膨らむ。

 ラインベックのデビュー戦は、6月29日の2歳新馬(中京・芝1600m)を予定。はたして、父母合わせてGI12勝という良血馬はどんな走りを披露するのか。その初陣は見逃せない。

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