セントウルSで穴をあけるのは、「千直」経験で競馬を覚えたネロ
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
夏競馬が終わり、いよいよ秋競馬がスタート。1カ月後には、GIスプリンターズS(10月2日/中山・芝1200m)が行なわれ、GIシーズンに突入していきます。
今週は、そのスプリンターズSに向けた重要な前哨戦、セントウルS(9月11日/阪神・芝1200m)が開催されます。サマースプリントシリーズの最終戦でもありますが、現在トップのベルカント(牝5歳)を逆転できる馬は出走しません。ジョッキーのミルコ・デムーロ騎手にだけ、サマーシリーズでの逆転優勝の望みが残されていますが(※)、そうした状況からして、サマーシリーズのために今回無理使いをしたり、目いっぱい仕上げたり、という陣営はなさそうです。あくまでも、スプリンターズSへのステップレースと考えていいのではないでしょうか。
※サマージョッキーズシリーズは現在、36ポイントの戸崎圭太騎手がトップ。M・デムーロ騎手は30ポイントで2位。週末の結果次第では逆転の可能性がある。
まず注目は、高松宮記念(3月27日/中京・芝1200m)を制した「春のスプリント王」ビッグアーサー(牡5歳)です。
高松宮記念は本当に鮮やかな勝利でした。好スタートから好位を追走し、直線はやや外目から豪快に伸びて快勝しました。この馬は、シュッと切れる脚は使わないのですが、追い出すとグングン加速していくイメージがあります。乗っていると、「どこまで伸びるのだろうか?」と感じるのではないでしょうか。その、どこまでも加速して伸びていきそうな脚力は、今のスプリント戦線では唯一無二の存在だと思います。
ただ、一瞬の脚に欠ける分、不利などがあって減速すると、520kg前後の大型馬ということもあって、再び加速するには時間がかかりそうです。この馬に関しては2年前の春、福島でデビューしたときから注目しているのですが、負けたレースのほとんどは、そんな感じで敗れた印象があります。
ゆえに、この馬の課題は、道中、いかにスムーズに走らせるか。それに尽きると思います。
鞍上は、前走の高松宮記念で初めて手綱を取った福永祐一騎手。その前走を見る限り、非常に手が合いそうです。馬込みをさばくようなことはせず、馬の気持ちに任せて走らせる、そういう自然な騎乗が合うのでしょうね。
今回は、次走への前哨戦。ここを勝ち切るだけの、目いっぱいの仕上げではないと思いますが、圏外に凡走するシーンは想像できません。上位争いには絡んでくるでしょうね。
ビッグアーサーの強敵になりそうなのは、過去に2度対戦して2回とも先着しているダンスディレクター(牡6歳)でしょうか。春の高松宮記念でも有力視されていましたが、レース当週に回避しました。
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