「牝馬のマツパク」が送り出す、最後の名牝候補リーチザハイツ (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

 初陣を前にして、気になるのは骨折の影響だが、厩舎スタッフによれば、過度の心配は必要ないようだ。関西競馬専門紙のトラックマンが語る。

「リーチザハイツは、もともと体高が低く、馬体も小さい馬なのですが、休養後は『背の高さは変わらないものの、休養前よりも馬体に幅が出て、肉付きがよくなった』とスタッフが話しています。そういった面もあって、スタッフは『骨折というアクシデントがあったものの、馬の成長をうながすには、いい休養になったかもしれない』と、骨折の影響を心配することなく、デビューが遅れたことについても、前向きにとらえていました」

 帰厩後はコンスタントに調教をこなしており、脚もとの不安などはない様子。今度こそ、予定どおりデビューの日を迎えられそうだ。先述のトラックマンが続ける。

「6月の時点で、デビューに向けてかなり負荷をかけていたので、基礎体力はそれなりにあるそうです。あとは、『最後の仕上げをやって、レースに送りたい』とスタッフ。ただ、現状の走りを見ると、正直なところ、動きは今ひとつ。いきなり勝ち負けを望むのは、酷かもしれません。実戦にいって、血統のよさが生きれば......というところでしょうか」

 現在の調教内容は決して際立ったものではないようだが、そこは良血馬であり、数々の名牝を育ててきた松田調教師の管理馬である。本番を目前にして、変わってくる可能性は大いに考えられる。

 はたして、骨折を経験したリーチザハイツは、その逆境をはねのけて、華々しいデビューを飾ることができるのか。それが叶ったとき、名伯楽もさぞかし引退を惜しむことだろう。

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