【競馬】優秀な兄たちを超えるか。レッドアヴァンセに託された夢 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

「この母の子を音無厩舎で預かるのは初めてですが、スタッフは『いいモノを持っている』とかなりの惚れ込みようです。『血統的に期待しているし、むしろ走ってもらわなければ困る』とまで言っていましたから。言葉どおり、高い評価をしていることがひしひしと伝わってきましたね」

 スタッフが手放しで褒める2歳牝馬は、10月23日にゲート試験を合格。11月21日の2歳新馬(京都・芝1600m)をデビュー戦に定めている。鞍上は、音無厩舎に所属する若手の松若風馬騎手になる予定だ。

 繊細な2歳牝馬だからこそ、中間の調整においては気を配ることも多い。その辺りについても、スタッフ間で綿密に打ち合わせされて、慎重かつ的確に物事は運んでいるようだ。先述のトラックマンが続ける。

「陣営は、『テンションを上げないよう、じっくりとピッチを上げていって、デビュー戦を迎えたい』と言っていました。レッドアヴァンセは、少し気持ちが前向きなようで、そこに細心の注意を払って調整するようですね。そうは言っても、期待のほうが大きいのは間違いありません。ここに来て、徐々に体が立派になってきて、『見栄えがする馬体になってきた』とスタッフが大いに喜んでいましたから」

 デビュー戦を勝った場合、そのままGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)挑戦も視野に入っているというレッドアヴァンセ。そんなイメージを膨らませるほど、資質の高さは相当なものなのだろう。

 重賞馬を次々に輩出してきたエリモピクシー。ただし、いまだGIを手にした子どもはいない。はたしてレッドアヴァンセは、優秀な兄たちでさえ果たしていない夢を実現できるのか。間近に迫った初陣に注目したい。

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