渋野日向子が「らしさ」を見せて急浮上。入念な「復習」でより高みへ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 3人は、コースロープ外まで聞こえてくる"女子トーク"に花を咲かせつつ、軽快なテンポでホールを消化していった。その間、渋野のギアはさらに上がって、10番(パー4)、12番(パー5)とバーディー。後半に強い彼女が"猛チャージ"を見せるか、という雰囲気に包まれた。

 迎えた13番。

「急いては事を仕損じる」あるいは、「好事魔多し」とはよく言ったもので、セカンドを打ち終え、小走りにグリーンに向かった渋野を待ち受けていたのは、3パットという"悲劇"だった。ファーストパットを強く打ちすぎて、返しのパットを逃すという、まこと"渋野らしい"外し方だった。

 だが、もうひとつ"渋野らしさ"を挙げるなら、バウンスバック()だ。
※ボギーか、それより悪いスコアとしたホールの直後のホールで、バーディーか、それよりいいスコアを獲得すること。

 続く14番、152ヤードのパー3で、渋野はピン横1mにピタリとつける。難なくバーディーを奪って、通算3アンダーに戻した。

 時刻は17時を回って、夕闇が迫ってきた。続く15番は、2オンを狙えるロングホールだった。

 ところが、渋野はティーショットを左のラフに入れてしまう。刻むのか否か。渋野は「残り193ヤード」を、グリーン右サイドのカラーまで運んだ。

 ホワーン!

 日没サスペンデッドを告げるホーンが鳴ったのは、渋野がグリーンに到達した瞬間だった。

「日没サスペンデッドは(プロになって)初めての経験です。ロングパットだったので、グリーンが綺麗な明日(3日目)、打ったほうがよかったのかもしれませんが、とにかく(そのホールを)終わらせたかったので......」

 薄暗いグリーン上、渋野はイーグルパットを翌日に持ち越さず、そのまま打った。2m、ショートした。それでも、続くバーディーパットを見事に沈めて、通算4アンダー、暫定ながら順位は6位タイまで急浮上して2日目の競技を終えた。

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