【木村和久連載】激突!「タラレバおやじ」vs「言い訳おやじ」 (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 最初から泥仕合になるのが見えている、こんな"タラレバおやじ"と"言い訳おやじ"のふたりが、ゴルフをすることに......。ののしり合いは、プレー前からすでに始まっています。

 先制攻撃を仕掛けたのは、言い訳おやじ。「いやぁ~、作夜飲み過ぎてさ、あんまり寝てないのよ。今日は叩くかもしれないけど、よろしくね」と軽いジャブ。それを聞いたタラレバおやじは、「今日の占いが最悪でさ、ゴルフの怪我に注意だって。昨日だったら、キャンブル運最高だったのにぃ~」って、ゴルフはギャンブルじゃありませんよぉ~。

 さあ、ティーグラウンドでプレー開始。

 350ヤードのミドルホール、先攻はタラレバおやじです。まずは無言で打って、緩めのフェードボールが飛んでいき、右のラフへ190ヤード前進。「こんなもんか、実は俺も二日酔いでフラフラだからさ。昨日、お酒を飲まなかったら、すごいショットが出たんだけどなぁ」と、ぼやくことしきり。

 続いて、言い訳おやじ。ティーアップしていますから、ライが悪いとか言えません。こちらは、テンプラ気味の高いボールで前進160ヤード。「うへぇ~、ティーが高かったよ。だから、テンプラボールが出たんだ」と、間髪入れずの弁解はもはや芸の領域です。

 もちろん、ティーなんて高いわけもなく、たぶんテンプラが出たら、条件反射的にそのように言う口癖になっているんでしょう。ですから、「テンプラボールに曲がりなしって言うからさ。真っ直ぐ飛んだのは、よしですな」と、さほど機嫌は悪くない。

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