【男子ゴルフ】国内メジャー第1弾、本命はAONの遺伝子を継ぐ松山英樹 (3ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 開幕戦の東建ホームメイトカップでは、最終日にその日のベストスコアとなる66をマーク。最終9番ホールでは、絶妙なセカンドショットからバーディーをもぎとり、ベスト10フィニッシュを決めた。続く2戦目のつるやオープンでは、土壇場で4連続バーディーを奪って逆転勝利を飾った。

 最終日の優勝争いの最中、上がり2ホール連続バーディーで勝つことはよくある話で、3連続バーディーとなると、ジャンボ尾崎が強かった頃にはあったかもしれない。しかし4連続バーディーというのは、ほとんどありえない。それをやってのけるのだから、松山というのはただ者ではない。

 そんな奇跡的な優勝を果たした直後、並みの選手であれば、気持ちの糸が切れて予選落ちしてもおかしくないが、松山は翌週の中日クラウンズでも優勝争いに加わった。それも、最終日の最終18番できっちりバーディーを決めて、首位の松村道央を追い詰めた。その驚異的な集中力と、最後の最後までチャンスがある限り食らいついていく姿勢に、度肝を抜かれた。

 また、今の松山の強さは、もともとのポテンシャルや実力もさることながら、目標がひとつしかないことにある。すべては、来年のマスターズに出場すること。鳥肌が立つような経験をした、あの舞台にもう一度立つことだけを思い描いて戦っている。プロになったのも、それが大きな理由のひとつ。アマチュアのまま、再びアジアアマチュア選手権優勝を狙うのは、一発勝負の博打(ばくち)に等しい。ならば、プロとして結果を積み重ねて、世界ランキングベスト50位以内に入ることを目指したほうが、チャンスが広がるからだ。

 そのためにすべきことは、目の前の大会で勝って、ポイントを上げること。したがって、松山は勝利に対して貪欲だし、目標がはっきりしているからゴルフに迷いがない。

 まもなく始まる日本プロ選手権は、国内のメジャー大会。世界ランキングに通じるポイントが大きいだけに、松山のモチベーションはこれまで以上に高まるだろう。彼がそこでどんなプレイを見せてくれるのか、今はそれが、楽しみで仕方がない。

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