【ゴルフ】堂々たるプロデビュー。松山英樹が描く「石川遼越え」 (2ページ目)
デビュー戦の予選ラウンド2日間は、昨年の賞金王・藤田寛之、そして大学の先輩で今年から選手会長を務める池田勇太と同組だった。多くのギャラリーが見つめる中で初日は4アンダー(4位タイ)で回り、マスターズ帰りの藤田に「ダイナミックなゴルフでどこからでもバーディーを拾える。自分もああいうゴルフがしたい」とまで言わしめた。
強風が舞い、多くの選手が大崩れした2日目は、我慢のゴルフを強いられるも、通算イーブン(10位タイ)に踏みとどまった。悔やまれるのは、3日目の12番における2連続OBだろう。一時はトップと2打差に迫りながら、このホールで叩いたトリプルボギーによって優勝争いから脱落した。それでも、通算3オーバー40位タイで迎えた最終日は、成績下位で"裏街道"のインスタートながら、この日のベストスコア「66」を記録して、一気に順位を上げた。
圧巻は最終9番ホール(418ヤード、パー4)だ。強風にあおられたティーショットは右に隣接する8番のカート道を進んで、グリーン右の崖上まで転がっていった。残り121ヤードの打ち下ろしとなる第2打は、風の影響を受けないパンチショットでピン横3mのチャンスにつけた。
「これを入れれば、トップ10に入れると思って気合を入れました」
最後は技でバーディーを奪い、最低限の目標をクリアした。
同い年の石川遼が不在の中、松山には大会数が減少傾向にある日本男子ゴルフ界の救世主として期待が集まる。そんな重圧もどこ吹く風で、ショットが荒れても堪え忍び、順位の上下動は激しくとも少ないチャンスを確実にものにしていく。周囲の雑音やタフなコンディションにも動じることがない、松山の強さが光ったデビュー戦だった。
いずれはライバル・石川のように、アメリカPGAツアー参戦を目論む。
「遼より先にメジャーを勝ちたい。4大メジャーなら何でもいい。まずは出場権を得るためにも、国内で実績を残し、世界ランキングを上げていきたい」
今季の男子ツアーの主役となるべき男が、納得の第一歩を踏み出した。
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