【男子ゴルフ】マスターズ攻略のために石川遼が最後に下した2つの決断 (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 そして石川が、最終的に今回のマスターズのために決断し、実行に移したのは、主に2点ある。ひとつは、ドライバーの長さを変えたことだ。従来の長さよりも0.5インチ短い、44.5インチをエースドライバーに決めた。

 0.5インチ短くしたということは、飛距離で約2.5ヤード落ちる計算だ。マシン計測上では、1インチ長くすれば、約5ヤード飛距離が伸びる。2インチ長くすれば10ヤード、3インチで15ヤード伸びる。でも、落とし穴がある。長くするほどタイミングが取りにくいし、ショットの精度のばらつきも生じる。

 つまり石川は、計算上で飛距離を2.5ヤード落としても、インパクトで数ミリ違わず真芯でとらえ、タイミングの取りやすいドライバーを選んだわけだ。
「44.5インチが、切り返し、ダウンスイングのときのタイミングのズレが非常に少ない。きれいにプレーンに乗ってくれる」

 もうひとつは、残り50ヤードの練習に重点を置いた。
「50ヤードの練習をオーガスタですることは、(会場の)雰囲気的に難しいものがあるのですが、(本番で)あれぐらいの距離感がすごく重要になってくるので、自分の練習ができていればいいと思ってやりました。ああいうショットを打つのは、1日1、2回かもしれません。でも、アイアンの微妙な、中途半端な距離は毎回残るので、そういうところの力加減や距離感を、50ヤードくらいのショットで磨いておきたかった。距離は、見た目を重視しての50ヤードです。ヤーデージが100%合っているとも限りませんし、目測で感じる距離のほうが合っていたりしますから。実際、試合中でも数ヤードずれているということはあったので、そんなに数字にとらわれず、自分の目測を大事にしたい」

 これが、マスターズでのテスト問題を解く重要な鍵となると、石川が最後に決断したことだ。そこから、彼がどんな回答を見せてくれるのか、楽しみは膨らむ。

 今年は一緒に練習ラウンドをこなした石川と松山。同級生で切磋琢磨し、互いにいい刺激になったのは間違いない。
「英樹の持っているゴルフは、僕もそうですし、見ている人を魅了するゴルフだと思う。一緒に練習をしていて、楽しいですし、見ていて勉強になります。刺激も受けますし、お互いに力になると思います」(石川)

 再びローアマを狙う松山。「20歳でマスターズ優勝」という夢を抱いてきた石川。それぞれの戦いが、まもなくはじまる。

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