スペインをワールドカップ優勝に導いた指揮官の「調整力」 新連載・名将たちの人心掌握術 (4ページ目)
「自分は運を信じません」
デ・ラ・フエンテ監督はスペイン版『エスクァイア』のなかで語っているが、リアリストであることが強みなのだろう。
「もちろん、人生のなかで病気やケガや事故で運を考えることはあるでしょう。しかし、試合に勝つかどうかは、いい仕事をしてきたかどうかで、運ではありません。どんな仕事をして、その身を捧げ、トレーニングしてきたか。情報を収集し、状況を制御することで、プレーを予測し、対応もできるのです。そこを運で考えてしまう時点で負けでしょう」
デ・ラ・フエンテに、ジョゼ・モウリーニョやジョゼップ・グアルディオラのようなフォトジェニックな"名将感"はない。しかし国を背負う代表監督は、地味さがチームを堅牢にするところもある。2010年南アフリカワールドカップでスペインが世界王者になった時も、ビセンテ・デル・ボスケ監督は派手さがない、重厚な人物像だった。
「大事なのはチーム。そのスタンスだけは変わりません」
デ・ラ・フエンテは言う。当たり前で、つまらない。しかしワールドカップ優勝監督の言葉だと思うと、重みも感じられるから不思議だ。
ルイス・デ・ラ・フエンテ
1961年、スペイン、ラ・リオハ州生まれ。現役時代はアスレティック・ビルバオ、セビージャなどでプレー。1994年に引退後、指導者の道へ。2013年、スペインU-19代表監督に就任。U-21代表監督、東京五輪監督を経て、2022年、スペイン代表監督に就任。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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