スペインをワールドカップ優勝に導いた指揮官の「調整力」 新連載・名将たちの人心掌握術 (3ページ目)
【コンセプトに忠実に】
ひるがえって、森保監督の選考には彼自身の「石橋を叩いて渡る」性格が強く出た。これまで大迫勇也、鈴木優磨、守田英正など、どのような理由があったのか不明だが、選んでもおかしくない選手を選ばなかった(もしくは選手に拒否されて選べなかった)。その一方で、盛りの過ぎた長友佑都のような選手を「精神性」に期待して選ぶなど、序列がチグハグだった。そこが違っていた。
デ・ラ・フエンテの選考で特筆すべきは、レアル・マドリードの選手をひとりも選ばなかった点だろう(ククレジャは2026-27シーズンからレアル・マドリードに所属)。スペインは複合民族国家で、マドリードのメディアの力が大きく、その要求をはねのけるのは簡単ではない。しかし、マドリードメディアの最後の砦だったダニエル・カルバハルもバッサリと切ったのだ。
「まずは自分たちのプレーコンセプトに忠実であるべきです」
デ・ラ・フエンテはスペイン紙『エル・コレオ』のなかで、そう説明している。
「(ボールを大事にする、ソリッドな)コンセプトに忠実であることで、チームは調整が可能になるでしょう。立ち戻るべき場所ができるからです。コンセプトに忠実にやり抜こうとするからこそ、そこからの応用で発展、進化させられて、ほんのわずかでも積み上がっていく。そうしたひとつひとつで、チームが強固になるでしょう。揺るぎないプレーモデルがあることで、選手は"もっとよくできる"と信じられるのです」
デ・ラ・フエンテ監督自身が選手のポテンシャルを信じられるからこそ、そのロジックは成立した。
北中米ワールドカップでは、リスクを負ってもボールプレーを徹底し、活路を開くことができた。
たとえばセンターバックのパウ・クバルシ、エメリク・ラポルトのふたりは常に積極的な姿勢を保ち、決して守りに入っていない。ビルドアップだけでなく、クバルシは決勝でも果敢にロングシュートを打っていた。ロドリ、ペドリ、ダニ・オルモで中盤を分厚くし、テンポを作ることに成功。彼らだけでなく、代わって入ったファビアン・ルイス、ミケル・メリーノが攻撃力を高めた。アレックス・バエナ、オヤルサバルもポジションを変えながら流動性を生み出し、常に主導権を握った。
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