検索

ワールドカップで目立つ巨大で豪華なアメリカのスタジアム 32年前の大会から大きく様変わり (3ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Takeo Goto

【32年前は当時として旧式のスタジアムが多かった】

 さて、ローズボウルに話を戻そう。

 ローズボウルのスタンドには、屋根などはいっさいなかった。1994年W杯決勝戦の映像を見ると、頭上からの直射日光を浴びていかにも暑そうに見えるだろう。ただ、猛暑に見舞われたアメリカ東部に比べて、ロサンゼルスは過ごしやすかったのではあるが。

ローズボウルで行なわれた1994年W杯の決勝 photo by Getty Imagesローズボウルで行なわれた1994年W杯の決勝 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 記者席はメイン側の最後列にあり、スタンド後方に本部用の建物が立っているので、日陰になっていて助かった記憶がある。

 1994年W杯で使われたスタジアムは、ほとんどがローズボウルと同様に巨大ではあるが旧式のスタジアムだった。

 ボストンでの試合は、今回と同じフォックスボロで開催された。現在のスタジアムは当時の旧式スタジアムの隣に新たに建設されたものだが、こちらは今でも屋根が付いていない。

 マサチューセッツ州は、暑さはそれほどではないが、冬は相当に寒い。

 アメリカン・フットボールは冬場のスポーツなので、ボストンのニューイングランド・ペイトリオッツのホームゲームでは、吹雪のなかで満員の観衆が入ったスタンドから湯気が立ち上っているような映像を見ることがある。

 1994年W杯で唯一屋根付きだったのは、デトロイト近郊のポンティアックにあったシルバードーム。完全密閉のドーム型スタジアムだった。

 ただし、このドームは冬の寒さを防ぐためのものだったので、冷房が付いていなかったのだ。したがって、デトロイトはそんなに暑い場所ではないのに、ドーム内は蒸し暑くて閉口した記憶がある。

 1990年代というと、欧州サッカー界では1980年代に起こったいくつかのスタジアム事故(「ヘイゼル」とか「ヒルズボロ」など)を受けて、スタジアムの改築が始まっていた頃だ。

 欧州のスタジアムは、アメリカほど巨大ではないが、限られた敷地の中に建てられたコンパクトな設計だ。雨風を防ぐための屋根も、欧州では昔から普通のことだった。

 そんな、欧州の基準で考えると1994年のアメリカのスタジアムは信じられないほど旧式のものばかりだったのだ。

 しかし、32年という時間で、アメリカのスタジアム事情はすっかり様変わりしたようである。

連載一覧>>

著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7700試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

【画像】FIFAワールドカップ2026出場国 フォーメーション&メンバー

3 / 3

  • Googleで優先するソースとして追加

Googleの「優先ソース」について

キーワード

このページのトップに戻る