【プレミアリーグ】連覇を目指すリバプールで不可欠なのはソボスライ 攻守両面で替えの効かないプレーがある (3ページ目)
【レッドブル産の逸材】
ハンガリー生まれのソボスライだが、プロデビューはオーストリアのFCリーフェリング。レッドブル・ザルツブルクの姉妹クラブだ。ソボスライはレッドブル・グループが育てた逸材と言える。
リーフェリングからレッドブル・ザルツブルクへ移籍し、リーグ優勝3回、カップ戦優勝2回に貢献。2021-22シーズンにはブンデスリーガのRBライプツィヒへ移籍、こちらもレッドブル・グループ。この時の2000万ユーロ(約26億円)の移籍金はハンガリー史上最高額だった。リバプール加入は2023年、移籍金は7000万ユーロ(約105億円)に跳ね上がっている。
レッドブル・グループは若くてフィジカル能力の高い選手を育成し、ビッグクラブに売却するというビジネルモデルで知られている。プレースタイルも若くて馬力のある選手を生かせるようになっていて、戦術、育成、移籍収益がセットになっている。ザルツブルクからはアーリング・ハーランド、南野拓実、ダヨ・ウパメカノ、ナビ・ケイタ、サディオ・マネらがビッグクラブへ移籍している。RBライプツィヒもヨシュア・キミッヒ、クリストファー・エンクンクなどを輩出してきた。
レッドブル・グループの強度重視の育成はリバプールとの相性がよく、マネ、ケイタ、南野がプレーしてきた。デビュー以来、レッドブルのクラブでキャリアを積んできたソボスライは強度と技術を兼ね備えた、まさにリバプール向きのMFである。
ハンガリーでは往年のスーパースター、フェレンツ・プスカシュと比較されているが、ゴールマシーンだったプスカシュとは明らかにタイプが違う。比べるならヨゼフ・ボジクのほうだと思うが、主に1980年代に活躍した「ラヨシュ・データーリは超えた」と言われている。比較対象が1950年代から1980年代に飛んでしまっているところにハンガリーサッカーの停滞が表われていて、そのため歴史的にもトップクラスのプスカシュがいきなり比較対象ということになっているのだろう。
ただ、それだけ久々に現われたハンガリーのスターなのだ。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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