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【欧州サッカー】「三笘薫と同じ種類のテクニック」エムバペの穴を埋めた22歳の新鋭ドリブラーを松井大輔が分析 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【三笘は理論型、バルコラは感覚型】

「バルコラが左サイドで突破するシーンでよく使っているのが、三笘薫(ブライトン)と同じ種類のテクニックですね。

 相手と対峙した時、ボールを後ろ足(右足)で持ちながら間合いを図り、相手の重心を右側(ピッチ中央側)に傾けた瞬間、後ろ足でボールを前に押し出すようにして一歩目を踏み出し、一気にスピードアップするドリブル突破です。

 ただ、三笘と違っているのは、ボールを押し出す時にインステップではなくインサイドでボールを運んでいることが多いのと、押し出したボールの距離です。三笘の押し出す距離が10メートル以内であるのに対し、バルコラは10メートル以上。背後にあるスペースによっては、20メートル先にボールを蹴って、対峙する相手とのスピード競争で抜き去ってしまいます。

 それを可能にしているのは、バルコラが兼ね備えている圧倒的なスピードです。おそらく走るスピードには絶対的な自信があるのでしょう。インサイドでボールを運べば、普通はスピードが落ちると言われていますが、バルコラはそんな細かいことは気にしていないのかもしれません。要するに、三笘が『理論型のドリブラー』だとすれば、バルコラは『感覚型のドリブラー』という分類になると思います。

 もうひとつは、リーチの長さと関係しています。バルコラは一歩で進む距離が長いので、当然ですが相手との間合いも変わってきます。僕もそうですが、普通の選手は2歩先のあたりが自分の間合いの広さになります。しかしバルコラの場合は、2歩半もしくは3歩先くらいが自分の間合いになっています。

 間合いが広いと、対峙する相手はいつもより自分に近い場所にボールを晒されるので、ボールを奪えると思って食いついてしまいます。でも、バルコラにとってはそれが自分の間合いなので、相手が食いついてくれる瞬間を狙って、先にボールにタッチして一気に抜き去ることができます。

 バルコラの身長は182cmですが、その身長のわりに足がものすごく長く見えます。このリーチの長さは、ほかの選手にはない大きな武器だと思います」

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