サッカー日本代表の3バックとは違う 三笘薫がブライトンの布陣変更で見せた別格の動き

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 プレミアリーグ第8節。6位のブライトンはアウェーで7位のニューカッスルと対戦した。代表ウィーク明けの初戦。ブライトンのファビアン・ハーツラー監督は、移動距離が長く、2試合(サウジアラビア戦、オーストラリア戦)で計178分(プラス、アディショナルタイム)出場した三笘薫を今季初めてスタメンから外した。

 三笘はブライトンで先発フル出場が大半を占める、いまどき珍しすぎる左ウイングだ。監督がロベルト・デ・ゼルビ(現マルセイユ監督)からハーツラーに代わっても、扱いに変わりはない。本来なら、ずっとピッチに立たせておきたい選手なのだろう。ここまで監督から厚い信頼を得ている選手も珍しい。その三笘を、重要な上位争い同士の対決であるにもかかわらず、ハーツラー監督はスタメンから外した。この先を見越した選手起用。森保監督にできるだろうかと、ふと考えてしまう。

 とは言っても、ハーツラー監督は"堪えきれずに"という感じで、三笘を後半15分に、最初の交代選手としてピッチに送り込んだ。その時、スコアは1-0。ブライトンがリードしていたが、試合内容はニューカッスルの一方的なペースだった。前半35分、右ウイング、ジョルジニオ・ルター(元U-21フランス代表)とのワンツーでダニー・ウェルベック(元イングランド代表)が先制するまで、ブライトンにチャンスらしいチャンスはなかった。

ニューカッスル戦に後半15分から出場、勝利に貢献した三笘薫(ブライトン) photo by REX/AFLOニューカッスル戦に後半15分から出場、勝利に貢献した三笘薫(ブライトン) photo by REX/AFLOこの記事に関連する写真を見る 後半に入ってもアウェー、ブライトンの劣勢は続く。そのタイミングで三笘は投入された。三笘は直後、後方から蹴り込まれたロングボール追いかけることになったが、そのスピード感溢れるいきのいい姿は、ピッチ上で燦然と輝いていた。

 ブライトン同様、ニューカッスルも各国の代表選手の集合体だ。ブルーノ・ギマランイス、ジョエリントン(ともにブラジル代表)サンドロ・トナーリ(イタリア代表)、アレクサンダー・イサク(スウェーデン代表)、アンソニー・ゴードン(イングランド代表)ら、好選手で固められている。三笘はそのチームに対しても、雰囲気満点の別格のプレーを見せつけた。100人以上とされる欧州組日本人選手のなかでも、三笘はナンバーワンであると太鼓判を押したくなった。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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