日本代表がドイツ相手に最大限の健闘。高原直泰が2ゴールと歴代代表のベストマッチとも言える試合があった (3ページ目)
ドイツW杯を前にジーコのミス
1年半前、横浜で3-0と楽勝していたことが油断につながったのか。自国開催W杯を前に、勝ち負けよりコンディション調整を重視したのか。理由は定かではないが、日本が最大限、健闘したことは確かである。巧緻性の高いステップなどの細かなアクションに、ドイツの大型選手は戸惑い、対処に窮した。2018年ロシアW杯決勝トーナメント1回戦対ベルギー戦を連想させる試合だったとは、筆者の印象である。
ジーコジャパンはこの試合に3-4-1-2で臨んだ。4-2-2-2で戦った1年半前とは異なる布陣でドイツに立ち向かった。ジーコはこのふたつの布陣を使い分けていた。
4-2-2-2は、ジーコが就任当初から採用したブラジル式サッカーの定番スタイルで、3-4-1-2は前任監督のフィリップ・トルシエが持ち込んだ、当時、欧州で流行していた3バックである。ドイツもフェラー監督時代まで同系の3バックで戦っていたとは先述の通りだが、路線を変更したドイツとは異なり、ジーコジャパンはその使用頻度を増やしていた。トルシエのやり方に対して何かと批判的だったジーコだが、なぜ、トルシエの持ち込んだ3-4-1-2を採用するのかと問われると、選手がその戦い方に慣れているからと、答えにならない答えを返したものだ。
それはともかく、ジーコジャパンにはその時、布陣に関して2つの選択肢があった。4-2-2-2か3-4-1-2か。ドイツW杯の初戦で日本と対戦するオーストラリアの監督、フース・ヒディンクにとって、それは悩める題材のひとつだった。
ところが、あろうことかジーコはドイツ戦の後、オーストラリア戦を戦う先発メンバーを世界に向けて発表してしまったのだ。その11人の名前を見れば、布陣は鮮明になった。つまり3-4-1-2を用いて戦ったドイツ戦は、ヒディンクが参考とするに最適な試合となってしまったのである。
日本が大会直前、ドイツに2-2と大善戦しておきながら、初戦では一転、オーストラリアに1-3で大敗した、大きな理由のひとつである。
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