日本代表がドイツ相手に最大限の健闘。高原直泰が2ゴールと歴代代表のベストマッチとも言える試合があった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Action Images/AFLO

日本の歴代ベストマッチのひとつ

 ドイツと韓国がW杯で対戦した過去はもう2回ある。直近では2018年ロシアW杯だ。ドイツはカザンで行なわれたこのグループリーグ第3戦に0-2で完敗。その結果、決勝トーナメント進出を逃すという失態を演じている。ドイツがW杯で第2次ラウンドへの進出を逃したのはこれが80年ぶり(1938年フランスW杯以来)、2度目の出来事だった。ドイツサッカー史に残る汚点であると同時に、世界のサッカー史においても事件に値した。

 ダラスのコットンボウルで行なわれた1994年アメリカW杯グループリーグの一戦も、競った戦いになった。スコアは3-2。ドイツは、韓国の終盤の追い上げにタジタジとなった。

 終盤の追い上げといえば、ゲルマン魂を有するドイツに一日の長があるように見える。言わずと知れたドイツのお家芸であるが、それと同系の気質を韓国にも見ることができるのだ。ドイツが毎度、苦戦を強いられ、好勝負に持ち込まれる理由ではないか。両者は大雑把に言えば、同系のチームである??―とは、筆者の見立てだ。ドイツは言わば「強い韓国」をイメージさせるのだ。

 2006年5月30日。ジーコジャパンは、レバークーゼンのバイ・アレーナで行なわれたスパーリングマッチで、後半31分までドイツを2-0とリードした。日本代表の歴代ベストマッチを選ぼうとしたら、必ずや上位にくる一戦である。

 後半12分、中盤で中村が高い技巧を発揮すると、柳沢敦を経由して、前線の高原直泰に縦パスが通った。ゴール前で仁王立ちするGKオリバー・カーンは、ドイツゴールを射貫いたその右足シュートを、呆然と見送るしかなかった。

 追加点を叩き出したのも高原だった。後半20分。駒野友一の横パスを受けるや、深々とした切り返しでバラックの逆を取るプレーが秀逸だった。GKカーンは高原のシュートに一歩も反応できず。得点を見送るのみだった。

 しかし、そこからゲルマン魂を発揮したドイツは、後半31分にクローゼ、35分にバスティアン・シュバインシュタイガーが連続ゴールを決め、試合を引き分けに持ち込んだ。

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