中村俊輔、伝説のFKから15年。左足の「魔法」によって現地記者の人生は大きく変わった
ちょうど15年前の今日、2006年11月21日。世界で最もサッカーが愛される街のひとつ、スコットランド第一の都市グラスゴーは歴史的な快挙に沸き立った。
1887年に設立されたセルティックはこの夜、史上初めて欧州チャンピオンズリーグ(CL)で決勝トーナメント進出を決めた。しかも当時、世界最強のひとつであるマンチェスター・ユナイテッドとの"バトル・オブ・ブリテン"で凱歌を上げての偉業だけに、喜びはひとしおだった。
中村俊輔のFKは今も語り継がれているこの記事に関連する写真を見る「もう15年前になるけど、クラブの歴史において、とてつもなく大きな出来事だった。今でも本能的に思い出せるくらいだよ」
一般紙『ヘラルド』の記者だったマーティン・グレイグは、"日出ずる国"からやって来た日本人MFにとりわけ魅せられたひとりだ。著書『The Zen of Naka : The Journey of a Japanese Genius』を著し、邦題『中村俊輔 スコットランドからの喝采』として日本でも出版された。
1817年から発刊されている『スコッツマン』の名物記者アンドリュー・スミスは、無垢な笑みを浮かべて思い出す。
「多くのセルティックサポーターのように、あのゴールを時々見返すことがある。何度見ても、驚かされないことはない。近代のセルティックの歴史において、最も価値のあるゴールのひとつであることは間違いない」
フリーランス記者のグレーム・マクファーソンは当時、因縁のライバルであるレンジャーズの公式メディアチームの一員として働いていた。
「家でひとりのサッカーファンとして見ていた。あれほどプレッシャーがかかる場面で、あのような偉業を成し遂げるテクニックとメンタルの強さには、畏敬の念を抱かされたよ」
『デイリーメール』のマーク・ウィルソンは、数日後のレンジャーズのフランス遠征に向けて準備をしながら自宅のテレビで見ていた。
「あのFKには、ただ驚かされたよ。テレビでリプレーが何度も繰り返されるたび、すごみがどんどん増して感じられた。絶対に止められないゴールだった」
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