CL決勝バイエルン優位の理由。ネイマールのメッシ的動きが問題に (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 バイエルンの3FWもポジションを変える。中央で構えるロベルト・レバンドフスキは、しばしば左に流れてプレーする。しかしその瞬間、ボールを奪われても、左右、中央に穴は生じない仕組みになっている。各ポジションをカバーする意識を、4-2-3-1の1トップ下で構えるトーマス・ミュラーを含めたアタッカー陣4人が備えているからだ。

 ボールを奪われることを想定しながら攻めているので、攻守が切り替わっても、瞬間、穴ができにくい仕組みになっている。高い位置から網が掛かりやすい設定になっている。ここにPSGとバイエルンの一番の差がある。

 中でも調子のよさが目立つのは、バイエルンの右ウィング、ドイツ代表のセルジュ・ニャブリだ。準決勝(リヨン戦)で挙げた先制ゴールには恐れ入った。右サイドから人混みを縫うように切れ込んで放った左足インステップは、再開後のCLの中では断トツのゴールだった。

 イバン・ペリシッチが先発し、途中からキングズレイ・コマンが交代出場する左サイドも強力だ。その下で構える左SB、アルフォンソ・デイビスの攻め上がりが凄まじいからだ。

 この突破力満点のカナダ代表の19歳と対峙する関係になるPSGのディ・マリアの駆け引きは見どころのひとつになる。ディ・マリアが、デイビスの攻撃参加をどれほど抑止できるか。だが反面、そこに労力を奪われすぎると、PSGの右攻めは停滞する。

 サイドを制するものは試合を制するとは、サッカー界の定説だが、それに従えばバイエルン有利となる。相手がボールを持っている時に、強そうに見えるチーム。攻撃している時に、守備の心配をしなくていいチーム。このバイエルンを倒すのは簡単ではない。

 PSGはチャレンジャーに徹することができるか。覚悟が求められている。

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