165cmと172cm。70年代にバロンドールを受賞した「小さな巨人」が2人いた

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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スポルティーバ・新旧サッカースター列伝 第15回

JリーグMVPの仲川輝人、長く世界のトップで活躍するリオネル・メッシ......。サッカーに身長の高低は関係なく、小柄でも大活躍してきた名選手が数多くいる。今回のサッカースター列伝は、そんな「小さな巨人」たちを紹介する。

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<デンマークの「小さな巨人」>

 2019年J1のMVPに仲川輝人(横浜F・マリノス)が選出された。仲川の身長は161cmだ。今季の横浜FMで大活躍したマルコス・ジュニオールも167 cm。サッカーに身長は関係ないとよく言われるが、ふたりはそれを証明していた。

小柄ながら大活躍でバロンドールも獲得した、アラン・シモンセン(写真左)とケビン・キーガン(同右)小柄ながら大活躍でバロンドールも獲得した、アラン・シモンセン(写真左)とケビン・キーガン(同右) 実際、歴代の名選手には身長の低い選手が多い。ペレは171 cmで、当時の選手としては小柄とまでは言えないまでも大きくはない。ディエゴ・マラドーナは公称165 cmとなっているが、たぶんもう少し低い。リオネル・メッシは170 cm、現在の平均身長より低い。エンゴロ・カンテは169 cm、ロベルト・カルロスは168 cmだった。

 身長は関係ない。場合によっては低いほうが有利になる。ボールはたいてい地面にあるからだ。小さな名選手は俊敏でターンが速い。素早さはかなり有利な資質である。

 バロンドール受賞者にも小さな選手は数多くいるが、アラン・シモンセンはその代表格だった。

 身長は165 cm、しかも体重59kg。小さくて華奢だった。1972年にブンデスリーガの強豪だったボルシアMGに加入してリーグ3連覇の原動力となっている。77年にデンマーク人として初のバロンドールを受賞、79年にバルセロナへ移籍した。

 デンマークのヴェイレBKで活躍し、72年夏のミュンヘンオリンピックにデンマーク代表で出場している。国内では知られた選手だったが、当時のデンマークはヨーロッパではアウトサイダーである。西ドイツの強豪ボルシアMGへの移籍は快挙と言えるかもしれない。

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