幸福に包まれたエイバル。レギュラー定着の乾貴士はバルサ戦でゴールを (3ページ目)

  • 山本孔一●文 photo by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

「エイバルの人々が自分に与えてくれる愛情に応えるためにもホームでゴールを決めたい」と普段から話している乾。自らのゴールで歓喜するイプルアのスタンドを夢見ていたからこそ、ホーム無得点でシーズンが終わることになった自身の不甲斐なさに腹を立てていたに違いない。

 リーガで成功した日本人。日本ではエイバルで2シーズン目の乾に対して、そんな評価が定着したように思える。だが、今シーズンも試合のたびに反省の言葉を口にする乾を見ていると、成功をつかむための挑戦を続けている印象のほうが強い。実際、今季も序盤は、出場機会に恵まれず、悔しい日々を過ごしていた。

 べべやルベン・ペーニャと争う左サイドは昨シーズン以上の激戦区であり、置かれた状況は決して楽観できるものではなかった。それでも守備面での意識改善や労を惜しまない運動量をブラッシュアップし続け、攻撃に関しても、ただ監督の指示を忠実に聞くだけでなく、いい意味でエゴイスティックなプレーを見せるようになった。

"いい子ちゃんの日本人選手"から"戦える日本人選手"と、乾は変貌を遂げた。メンディリバル監督の信頼も勝ち取り、今季はここまで27試合に出場(うち先発は25試合)と、開幕前に個人として挙げていた大きな目標のひとつである定位置確保は達成した。だが、もうひとつの目標であった二桁得点には全く手が届かないまま終わることになった。

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