もはやCLどころじゃないレスター。岡崎も不発でFA杯は3部に敗戦 (2ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 昨季、レスターを偉業に導いたクラウディオ・ラニエリは今季のスランプを受けて、「ティンカーマン」(下手な修理屋=システムや選手を頻繁に変える監督)と呼ばれたかつての姿に戻り、試合ごとに異なるメンバーをピッチに送り出している。ただし前半戦は、リーグ戦では不安定な結果が続いたが、CLでは好調を維持してグループを首位通過できた。そしてミルウォール戦にも、4日後に控えるセビージャとのラウンド16第1戦を見据えて「リザーブチーム」で臨んで敗れたことに対して、リネカーは苦言を呈しているのだ。

 56歳の人気解説者が言うように、レスターにとって、CLは「優勝する可能性のない」高値の花と言えるだろう。首位通過できたとはいえ、彼らが突破したグループFの相手は、ポルト、コペンハーゲン、クラブ・ブリュージュの3チーム。ヨーロッパリーグ(EL)のグループと言われても頷けるような、CL史上稀に見る地味な組だった。

 しかし、真の本戦と言うべき決勝トーナメントでは、1回戦から手強い相手が立ちはだかる。アンダルシアの名門セビージャは、昨季にレスターと同じようにミラクルを起こした。彼らが成し遂げたEL3連覇は、インパクトではレスターのプレミアリーグ制覇に劣るかもしれないが、現代の欧州カップ戦を通じて史上初となる偉業だ。フットボールディレクターを務めるモンチら、賢いフロントが統べるクラブは、毎年のようにエースクラスを放出しながらも、この大いなる功績を成し遂げている。

 今オフにはその金字塔を打ち立てたウナイ・エメリ──先週にパリ・サンジェルマンを率いてバルサを粉砕したスペイン人指揮官だ──がチームを去ったものの、その後任にホルヘ・サンパオリを迎えて、クラブの野望はさらに膨らんでいる。激しさと美しさを兼ね備えたフットボールで勝ち点を積み重ね、ここ数年は3強の様相を呈していたリーガの上位争いに割って入り、現在、レアル・マドリード、バルセロナに続く3位につけているのだ。

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