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PKを26本決められ続けた男。
シレッセンはバルサの正GKになれるか (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ピッチを去るときにシレッセンは不満をあらわにし、ペットボトルを蹴飛ばした(のちに謝罪した)。しかしクルルの心理戦のうまさもあって、オランダはPK戦をものにした。

 準決勝もPK戦になったが、このときはシレッセンがゴールを守った。しかし、アルゼンチンの4本のPKを1本も止められず、オランダは敗れた。シレッセンはプロになってからというもの、26本のPKを決められ続けた。初めてセーブしたのは、昨年11月のウェールズ戦でのジョー・アレンのキックだった(ただし、このときもリバウンドをジョー・レドリーに決められている)。

 PKの低いセーブ率には不運な面もあるが、シレッセンの数少ない欠点のひとつを示してもいる。ボールへの反応がそれほど速くないことだ。

 昨年夏のシレッセンは、世界で最も評価されている若手GKのひとりだった。あのときマンチェスター・ユナイテッドのGKダビド・デ・ヘアのレアル・マドリードへの移籍話がすんなり進んでいたら、ファン・ハール監督はオランダ代表でよく知っているシレッセンを獲得していただろう。

 だがその後、シレッセンはひどい1年を過ごす。オランダがユーロ2016の出場を逃したことには、彼にも責任の一端があった。そして今シーズンは開幕直後にバルセロナへの移籍話が持ち上がり、落ち着かない日々が続いた。シレッセンはミスを繰り返し、アヤックスでのポジションも危ういものになりはじめていた。そこへバルサが正式にオファーを出してきた。

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