【イタリア】守備的?攻撃的?
ユーベ指揮官が考える3バックシステム

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

守備の国イタリアで、3バックを採用しているユベントスのコンテ監督photo by Getty Images守備の国イタリアで、3バックを採用しているユベントスのコンテ監督photo by Getty Images「3-5-2」、あるいは「3-4-3」。3バックは守備的なのか、それとも攻撃的なのか。この疑問に対して、現在3バックを採用し、イタリアのセリエAで首位を独走するユベントスのアントニオ・コンテ監督が自らの考えを述べてくれた。

――昨季のユベントスが試合途中の交代枠を主にFW選手に偏らせていたのに対し、今季はその比重が明らかに中盤の選手に移っています。この変化の理由とは?

「それは単に今シーズンの我々が中盤に多くの選択肢を得ているという証だ。昨季のユベントスは、MFの層が今季に比べて格段に薄かったからね。したがって、必然的にMFの彼らに、多大な献身を強いる結果になっていたんだ。

 ところが今季のユーベは、昨季とは違って同時にチャンピオンズリーグ(CL)にも臨まなければならない。だから、当然のこととしてクラブは昨夏のメルカート(移籍市場)で、何よりもまず中盤の強化を図ることになった。言わずもがな、中盤とは最もエネルギーを消耗するポジションだ。そこに代えが利くようになったからこそ今シーズンの故障者減少もある」

――ところで、現在のユベントスが採用する3−5−2について、巷間よく言われるのが、"その実、DF3枚ではなく5枚"。要するに、非常に"守備的かつ消極的"な布陣である、ということです。

「前者(DF5枚になる)については"イエス"、だが後者の指摘には"ノー"。つまり、事実上DF5枚になるのは当然であって、むしろそうならなければ、このシステムを機能させることはできないわけだ。だからこそ『3−5−2』の『5』の両サイドには非常に高い戦術理解が常に求められるわけだが、幸いと言うべきか、現在のユベントスは実に優れた選手を、もちろん控えのメンバーも含めて、両方のサイドに擁している。

 そして、そのうえで言えるのは、仮にこのシステムが持つ真の意味を理解していれば、それを消極的とは決して言えないということ。守るためだけのサッカーでは決して勝つことはできないのだから。少なくとも、昨季から今季これまでのユベントスを、間違っても守備的で、消極的などとは言えないはずだ」

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