ドキドキのJ1残留争いの安全圏はどこか 福田正博「ボーダーラインは勝ち点40獲得」
■J1は残り8節(チームによって残り8~10試合)となり、優勝争いとともに残留争いも熾烈になってきた。福田正博氏が残留のボーダーラインと下位チームの上昇の見通しを解説した。
【セーフティゾーンは勝ち点40獲得】
今季からJ1は20クラブで争われているが、18位~20位の下位3チームがJ2降格になる。ここから最終節まで残留に向けた熾烈な戦いが続いていくが、残留へのセーフティゾーンは例年の状況を見ていると、勝ち点40獲得あたりになるだろう。
第30節ではジュビロ磐田が柏レイソルに勝利。熾烈なJ1残留争いから目が離せなくなっている photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 現時点で勝ち点40に未達なのは11チームある(9月18日終了時点)。ただし、勝ち点39で並ぶ10位の浦和レッズと11位のアルビレックス新潟、勝ち点38のセレッソ大阪とアビスパ福岡、勝ち点37の川崎フロンターレ、京都サンガF.C.は、あと1勝して勝ち点3を上積みできれば勝ち点40に到達する。
この6チームの残り試合数は8〜10とバラツキがあるものの、さすがに勝ち点40に届かずにシーズンを終えることは考え難いだけに、この6チームの残留は問題ないだろう。
ただ、彼らが開幕前に目指したのは残留ではなかったことを忘れてはいけない。サポーターは残留に安堵してもいいが、チーム関係者がそれでよしとして「なぜ残留争いに巻き込まれたのか」を分析しなければ、来季以降も同じ苦しみを味わうことになるからだ。
浦和レッズについて言及すれば、シーズン途中の8月にマティアス・へグモ監督を解任し、昨季までチームを率いたマチェイ・スコルジャ監督が復帰した。スコルジャ監督は昨季、浦和をAFCチャンピオンズリーグ優勝、ルヴァンカップ準優勝、リーグ戦4位に導いた手腕がある。それだけに浦和サポーターは成績が一気に向上すると期待するかもしれないが、昨季のスコルジャ体制を支えた主力選手の多くはもうチームには残っていないことを理解すべきだ。
来季優勝争いに加わるためには、残り試合でいち早く勝ち点40をクリアし、現在の戦力の見極めをしていくことが求められるだろう。スコルジャ監督のサッカーを体現できる選手とそうでない選手の選別をし、足りないポジションを補う。この作業を丁寧に進められなければ、スコルジャ監督が率いるとしてもまた同じ道をたどる可能性がある。
1 / 3
著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。