FC東京が見せたのは旧スタイルの「らしさ」。「完成度はまだ20%にも満たない」新スタイルはどう変貌するか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 他のすべての試合に先駆け、文字どおりの今季開幕戦として行なわれた、J1第1節の川崎フロンターレvsFC東京。結果は、昨季王者・川崎がFWレアンドロ・ダミアンのゴールを守り切り、1-0で勝利した。

 前週の富士フィルムスーパーカップで敗れていた川崎にとっては、悪い流れを食い止める、貴重な今季初勝利だったに違いない。

 だが、敗者にとっても決して悪い試合ではなかった。

 前半半ばまでは、なす術なく川崎にボールを支配され続け、防戦一方となっていたが、それ以降はFWの高い個人能力を生かして攻撃機会を作り出し、むしろ決定機の数では川崎を上回った。いくつかあった決定機のうち、ひとつでも決めていれば、という悔しい敗戦だった。

ディエゴ・オリヴェイラ(写真)とレアンドロを中心に迫力ある攻撃を見せたFC東京ディエゴ・オリヴェイラ(写真)とレアンドロを中心に迫力ある攻撃を見せたFC東京この記事に関連する写真を見る そんな攻撃の中心にいたのは、変則3トップとでも言うべきFWトリオ。すなわち、ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロ、永井謙佑の3人である。

 一応3トップとは言うものの、実質的にはふたりのブラジル人FWが2トップ然として構え、永井だけが左サイドに開くという偏った配置になってはいたが、これがうまく機能していた。

 とりわけ、ブラジル人FWふたりの個人能力は圧倒的で、FC東京の決定機はほぼすべて、この"2トップ"を介して作られていたと言ってもいい。

 勢いを持って、速く、強く、相手ゴールに向かっていく。そんな迫力ある攻撃には、FC東京らしさが存分に表れていた。

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