第二の三笘薫や旗手怜央になれるか。Jリーグで即戦力が期待される「大卒新人」選手たち

  • 小室 功●文 text by Komuro Isao
  • photo by Komuro Isao

近年、Jリーグ加入1年目から即活躍が目立っている、大卒新人選手。今年はどんな選手がいるのだろうか。期待の注目プレーヤーたちを紹介する。

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法政大から川崎フロンターレ入りする松井蓮之法政大から川崎フロンターレ入りする松井蓮之この記事に関連する写真を見る松井蓮之(まつい・れんじ/MF/法政大→川崎フロンターレ)

 大学ナンバーワンボランチの呼び声が高く、早い段階で川崎フロンターレのスカウト担当の目に留まった。そして、大学3年生の時点で、内定を得ている。

 持ち味は何と言っても球際の激しさ。ボールホルダーにロックオンするやいなや、一気に間合いを詰めて、相手のコントロールミスを誘い、ガッツリと絡めとる。端正なルックスとは裏腹の、その獰猛さが目を引く。

 プロになるまでのプロセスや入団先、プレースタイルに共通点が少なくないことから、模範にしているのが守田英正だ。関東大学リーグ(流通経済大)を経て、2018年に川崎に進み、現在はサンタ・クララ(ポルトガル)に所属する日本代表ボランチだが、「守備面での強さがあるだけじゃなく、攻撃に出て行った時のプレーもすごくお手本になる」と"先輩"の背中を追いかける。

 2021年10月下旬に福島のJヴィレッジで行なわれたAFC U23アジアカップウズベキスタン2022のアジア最終予選では、キャプテンマークを巻き、カンボジア戦にフル出場。今までとは異なる舞台を経験し、向上心を刺激された。

 ピッチ上での佇まいはもちろん、ふだんからおしゃれな空気を身にまとう若きボランチ。チーム内の競争が厳しい川崎での、さらなる飛躍が期待される。

駒澤大からサガン鳥栖入りする荒木駿太駒澤大からサガン鳥栖入りする荒木駿太この記事に関連する写真を見る荒木駿太(あらき・しゅんた/FW/駒澤大→サガン鳥栖)

「もともと福岡の出身。(九州のJクラブである)鳥栖からオファーをいただいた時、ほとんど迷うことはなかった。大学は関東に来ていたので、なかなか試合を見てもらえなかったけれど、鳥栖なら実家から近い。親孝行にもなるかなと思った(笑)」

 スピードとスタミナを兼ね備え、攻守にハードワークできるFWだ。駒澤大OBで、元Jリーガーでもある深井正樹コーチの下、動きの質に磨きがかかった。

「DFの背後に抜け出すことばかりを考えていたけれど、状況に応じて動きの矢印をいっぱい持つようにとアドバイスされ、プレーの選択肢が広がった」

 自慢の走力が培われたのは高校時代だ。数多くのプロ選手を育てた名伯楽の小嶺忠敏監督率いる長崎総科大附高(長崎県)で、みっちり走り込んだ。

 駒澤大でのラストシーズンは惜しくもリーグ優勝を逃したものの、最終節まで可能性を残し、インカレ(全日本大学サッカー選手権)では15大会ぶり7回目のタイトルを奪還。関西の雄・阪南大との決勝では、先手を取られながらも荒木が2アシストを記録するなど、逆転優勝の原動力となった。

 終了のホイッスルが吹かれるまで、足を止めず、必死に守備に走る姿は感動的ですらあった。文句なしの大会MVP受賞だった。

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