FC東京、黄金期到来か。選手の意識を変えた長谷川監督の言葉 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「(植えつけられたのは)勝ちたいという気持ち。もちろん戦術の部分もありますが、サッカーをやるうえで本質的なものが、今までのFC東京に足りない部分だった。そこを健太さんは毎日のように口にして求めてきたことで、ちょっとずつFC東京がタイトル争いできるようになってきたのかなと思います」

 そうした意識改革に加え、この指揮官は選手の能力を見極め、引き出す力にも長けている。

 昨季はシーズン途中に久保建英が移籍し、今季も室屋成と橋本拳人が流出した。重要なタレントが抜けても、その穴を埋める新たな戦力を台頭させる。中村帆高、安部柊斗、波多野豪らが今季の成長株だろう。絶対的なCBだった森重のアンカー起用も、指揮官の優れた眼力のなせる業だ。

 就任3年目のタイトル奪取は、このクラブの大きな転換点になるかもしれない。長谷川監督は自らの経験をもとに、今回の優勝の意義をこう語った。

「タイトルを獲らないと、タイトルは集まってこない。ひとつ獲ることによって、ほかのタイトルが近寄ってくる。だから、まずひとつ、何でもいいからタイトルを獲りたいと思っていました」

 指揮官の言葉が正しければ、そのファーストステップをクリアしたFC東京は、黄金期の入り口に立ったと言えるかもしれない。

 2020年シーズンは終わったばかりだが、新たなシーズンはすぐに待ち受けている。2021年、首都のクラブは果たして真の主役になれるだろうか。その戦いに注目が集まる。

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