不屈のFWワシントン。プロ復帰は無理と言われても心臓疾患を克服した (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

無料会員限定記事

「この心臓は切っても切り離せない私の一部だ。もちろん病気などないにこしたことはない。しかし、そのおかげで私は強くなれた。『手術をしてプロに復帰した者はいない』と言われた時、私は精神的にも身体的にも強くなろうと決めた。絶対にあきらめたくなかった」

 ワシントンは1993年、18歳の時にカシアス・ド・スルのトップチームでプロとしてプレーを始め、いきなり45試合で59ゴール(3シーズンで)という好成績を叩き出す。ゴール数が試合数よりも多い効率のいい選手に、ポルト・アレグレの名門インテルナシオナルが興味を持ち、契約を交わした。

 しかし、移籍してからのワシントンはケガが多く、おまけに糖尿病が見つかり、インスリンと薬を定期的に摂取する必要があった。ワシントンは数ゴールを残して、ピッチから消えてしまう。翌年はサンパウロから100キロ離れたカンピナスの小さなチーム、ポンチ・プレタに売られたが、ここでも調子は上がらず、すぐにより小さなパラナへと移籍した。

 この頃のワシントンはスランプに陥っていた。2年前のゴールゲッターの面影はなく、ブラジル中が1998年のフランスW杯に盛り上がる中、ワシントンは自分のチームを見つけられずにいた。この頃のことをワシントン自身はこう語っている。

「実際、私自身も何が起こったのかは説明できないでいた。3年間ほど、私は私ではなかった気がする」

全文記事を読むには

こちらの記事は、無料会員限定記事です。記事全文を読むには、無料会員登録よりメンズマガジン会員にご登録ください。登録は無料です。

無料会員についての詳細はこちら

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る