五輪代表候補・三好康児はF・マリノスで「水を得た魚」になった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Etsuo Hara/Getty Images

 三好はFWに不可欠な縦への推進力、突破力、さらに言えば豪快さや走力が不足しているのに対し、中盤選手に求められる技巧は十分に備えている。167cmという小柄なサイズも中盤選手向きだ。

 川崎は、技巧派の大島僚太(168cm)を4-2-3-1の守備的MFに、中村憲剛(175cm)を1トップ下に据えている。だが、それぞれのキャラを考えれば、2人とも三好同様、4-3-3のインサイドハーフの方が適している。

 大島の技巧はより高い位置で活かせるし、逆に中村はゴールに背を向けたプレーが得意ではないので、もう少し下がった方がよさそうに見える。この2人を中心に考えれば、布陣は4-2-3-1より4-3-3の方が相応しいと思われる。

 だが、日本に4-3-3の文化はさほど浸透していない。現在、J1でこれを採用しているチームは、横浜FMの他にはヴィッセル神戸ぐらいだ。世界的なシェアと比べると、この割合は圧倒的に低い。逆に、彼らのような選手を落とし込みにくい、5バックになりやすい3バック(3-4-2-1など)の使用率の高さが目立つ。

 三好の場合は、3-4-2-1でプレーした昨季の札幌がそれだった。また、一昨季までプレーした川崎では、大島、中村という名前のある選手によってポジションは埋められていた。

 先述したように、三好の場合、4-2-3-1の3の両サイドを担当するには、アタッカーとしての鋭さに欠けていた。選手が適性の範囲を広げることは重要だ。若手にはとくにその努力が求められる。対応の幅が広いほど、出場の機会を増やすことになるからだ。

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