優勝まであと一歩。報われない戦いに
死力を尽くした町田に称賛の拍手

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

 今シーズン、町田ゼルビアは、報いの少ない戦いにその身を投じてきた。J2開幕時点で、クラブはJ1昇格に必要な条件(スタジアム収容人数や練習場の天然芝化)を満たせていない。J1昇格プレーオフを戦う「6位以内」を目標に掲げるも、その対価はないに等しかった。

 にもかかわらず、ピッチに立った町田の選手たちは、シーズンを通して死力を尽くした。42試合目となる最終節のアディショナルタイムまで、J2優勝の可能性を残していたのだ。

「選手を褒めてあげたいです」

 最終節後の記者会見、相馬直樹監督は屈託のない表情で語っている。

「J1関係者からは(町田が自動昇格の2位以内に入ればJ1昇格チームは1つ減り、J1からの降格チームもひとつ減るので)『頑張ってくれよ』と連絡がきたりしていました。応援してもらって、ありがたいけど、もやっとするというか、やるせないところは選手たちもあったはずです。一方で対戦相手からは、そんなに頑張るなよ、と言われて......。気力が落ちかけることもあったはずですが、選手たちは毎試合、気持ちを奮い立たせてピッチに立ってくれました」

 昇格プレーオフ圏内入りがかかっていた東京ヴェルディとの最終節、町田はどのように戦ったのか。

J2最終節を終えた町田ゼルビアの相馬直樹監督と選手たちJ2最終節を終えた町田ゼルビアの相馬直樹監督と選手たち 11月17日、小田急線の鶴川駅近くでは、町田の案内スタッフが大きな声で注意喚起を促していた。

「今日のチケットは完売です! 当日チケットはございません!」

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