元MVPは伊達じゃない。横浜FCレアンドロ・ドミンゲスが止まらない (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 だがしかし、身も蓋もない言い方をすれば、強いチームとはそういうものだ。スーパーな選手になればなるほど、替えが利かないのは当然のことであり、そういう選手がいるからこそ強いチームでいられるのだ。

 むしろ"切り札"の力を最大限に発揮させるべく、実質5バック+3ボランチの布陣で守備のバランスを崩さず戦い、レアンドロ・ドミンゲスが自由に動いてチャンスを作る。そんな戦いがシーズン終盤に来て固まってきたことは、J1昇格へ向けての好材料だろう。

 当の本人は、決して偉ぶることなく、「自分のゴールにこだわらず、よりよいポジションに選手がいれば、パスして、それを生かすこともある。よりよい選択をするだけ」と語り、自身の数字に頓着する様子は見られない。

 これまでに11ゴール14アシストと、チームの全62ゴールのうちの4割近くを叩き出していながら、「大事なのは、チームの勝利に貢献すること」と、あくまでもフォアザチームを強調する。その姿勢は、2010年に柏をJ2優勝、さらには翌年にJ1優勝へと導いたころから変わっていない。

 今季J2も残すところ、あと1節。横浜FCは最終節でヴァンフォーレ甲府に勝利しても、J1自動昇格の成否は他チームの結果に委ねられる。状況は決して楽観的なものではない。

 だが、その一方で、すでに6位以内は確定しており、仮に2位以内に入れなくても、J1参入プレーオフに昇格の可能性を残すことになる。負ければ終わりの一発勝負においては、レアンドロ・ドミンゲスのような決め手を持つ選手の存在は心強い。

 J1で頂点を極めた男に導かれ、横浜FCの勢いは、2007年以来となるJ1昇格へ向けて加速している。

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