ジュビロ、J2降格。王者転落を招いた「三大要素」 (3ページ目)
トレーニングにおいても、ジュビロらしさが消えていった。これまでは、一定のルールを設けながらも、いい意味で自由さがあるムードが継承されてきたが、そうした雰囲気は徐々に一掃されていった。他チームの指導者となって練習を見学に来たあるOBは、その光景を見て驚きを隠せないでいた。
「監督と選手の関係が、やや一方通行のように見えた。まるで高校の部活のよう。もちろん、それが悪いとは言いませんが、強かった頃のジュビロの練習風景とはまったく違った。やはり、プロはサッカーが仕事。社会人としての豊富な経験が、結果的に競技のレベルを上げることがある。そういう社会人としての行動にも制限をつけて、上から抑えつけるだけの指導はどうなんでしょうか……」
また、クラブハウスが誕生して以来、同じ建物内に同居していた記者スペースが、今季から別のエリアへ移動した。非公開練習が増え、ファンがクラウンドに足を運ぶことも減った。かつては、練習や試合に来るファンのゲキに選手たちも奮い立っていたが、今やメディアと選手との距離を遠ざけ、極力ファンの声が選手に届かないようにしている。
古くからクラブに在籍する関係者は、そうしたチームのスタンスに苦言を呈した。
「今は、選手もスタッフも(外部の雑音から)守られた状態にある。記者やサポーターの厳しい目から逃れて、ぬるま湯に浸かったような状態。だから、成績不振にも他人事のようになる」
そして彼は、こう続けた。
「ここまで築いてきた良いものが、ひとつひとつ積み上げられて『名門』と呼んでもらえるようになった。それを簡単に捨て去ろうとしたことが、今回の降格の大きな要因だと思う」
今後は、降格から1年でのJ1復帰が最大の目標となる。加えて、ファンが求めるものは“強いジュビロ”の復活だろう。そんな理想を築くために必要なのは、奇しくも以前クラブが掲げていた『原点回帰』。本来の“ジュビロカラー”を取り戻すことが、その第一歩になるのではないだろうか。
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