【Jリーグ】2ステージ制復活案の是非。識者はどう見ているのか (4ページ目)
◆2ステージ制復活に「反対」
川本治氏(解説者/元古河電工監督、ジェフユナイテッド市原強化部長など)
「サッカーの原点というか、リーグ戦の原点は、1シーズン制にある。それが、普通だと思う。リーグを盛り上げていくためには、まずは各クラブがいろいろな努力をすべき。魅力のある試合、面白い試合をして、お客さんを呼ばなければいけない」
木村和司氏(解説者/元横浜F・マリノス監督)
「リーグ戦で問われるのは、チームの総合力。2ステージ制になると、ちょっと長いカップ戦のイメージで、力がなくても、勢いだけで優勝してしまうチームが出てくる。本当の意味でのリーグ王者というのは何なのか? という疑問が生じる」
鈴木正治氏
「ナビスコカップ、天皇杯とカップ戦があるわけだから、リーグ戦というものは1シーズン制でいいと思う。難しい問題だけど、7対3で2ステージ制の復活には反対」
望月重良氏
「Jリーグは現状のままではいけないと思うし、どうにかして盛り上げていかなければいけないけれども、やはり2ステージ制では、真の優勝チーム、チャンピオンというのは決めにくいのではないか。選手の立場としては、リーグ優勝の重みというモノを大切にしたいから、個人的にはリーグ戦というのは1シーズン制が理想」
田中誠氏
「日本サッカーが、世界基準に近づいていこうという流れの中で、欧州のほとんどの国で行なわれている1シーズン制とは違うスタイルでリーグ戦を行なうのは、時代に逆行しているし、矛盾を感じる」
佐藤俊氏(スポーツライター)
「Jリーグは、人気、実力ともに、国際競争力というものを高めていかなければいけない。総合力がないと優勝できない1シーズン制を継続して、各クラブのチーム力をより高く、強くしていくことが大切」
中山淳氏(サッカージャーナリスト)
「本当の意味でのサッカーの楽しみ方、サッカー文化を根付かせていこう、という目標がJリーグにはあったと思うが、その思想から逆行している。長いシーズンを戦うことで、引き分けの重要性、勝ち点1をとることの大切さを知るわけで、そうしたサッカーのレベルを上げるうえでも2ステージ制はマイナスになる。2ステージ制にして、チャンピオンシップをやったり、クライマックスシリーズをやったりして盛り上がるのは、その場限りのもので“偽り”の盛り上がり。目先の資金確保のために、大儀を忘れてはいけない。Jリーグ100年構想の心意気はどこにいったのか……」
菊地芳樹氏
「今さらシーズン途中に優勝チームが出ることで盛り上がるとは思えず、2ステージ制にそれほどメリットがあるとは思えない。1シーズン制のリーグを一度完結させたあと、新たなスポンサーをつけて、クライマックスシリーズのようなものを開催するのが理想」
賛否が分かれた2ステージ制の復活。ただ、どの識者からも、100%賛成、あるいは100%反対という声は聞かれなかった。誰もが胸中に「賛」と「否」を両方抱えていた。ということは、2ステージ制か1シーズン制かの二元論で語ること自体に無理があるのかもしれない。
「2ステージ制のデメリットを極力排除した2ステージ制はないのか」
「1シーズン制のデメリットを極力排除した1シーズン制はないのか」
そう考えたときに、Jリーグが提案する第1案、第2案はどちらも賛同しきれない。第3案はないものか。
検証を続けていきたい。ヒントは、14人の識者全員が語った「理想は1シーズン制」の中に潜んでいるような気がしている。
4 / 4