「最強レッズ」が首位に立てない最大の理由
鹿島アントラーズから興梠慎三、サンフレッチェ広島から森脇良太らを獲得し、今季も大型補強を敢行した浦和レッズ。開幕前から優勝を期待する声が大きかった。解説者など識者の評価も高く、多くのメディアでV候補の筆頭に挙げられていた。
だが、シーズン序盤から上位をキープしながら、首位には一度も立てていない。トップの背中をとらえつつも大事な試合を取りこぼして一歩後退。前評判のような強さを発揮できず、混戦の中から一向に抜け出せないでいる。
充実した戦力がそろっている浦和レッズだが......。
その原因の根底には、監督のサッカー哲学が大きく影響する部分がある。
大抵の監督は、その思考の出発点はディフェンスだ。主にJリーグで指揮を執る場合、よほど攻撃力の高い選手を抱えるクラブでもない限り、守備をベースにしたチーム作りを進める監督が多い。
翻(ひるがえ)って、浦和を指揮するミハイロ・ペトロヴィッチ監督のスタート地点は、攻撃だ。
ウォーミングアップ後の練習メニューは、ハーフコートでの11対11がほとんど。シュート練習や戦術的なパターン練習も行なわれることはあるが、いずれにしろ、ペトロヴィッチ監督の口から出される指示は、ビルドアップを含め、攻撃に関するものに終始する。守備の練習は、11対11のゲーム中のみで、守備の一局面を切り取った――例えば、クロスをDF陣が跳ね返してラインを上げる――ようなトレーニングは行なわれない。
「2点取られたら、3点取り返すサッカー」
それが、浦和の選手たちが公言するミシャ(ペトロヴィッチ監督)の、自分たちのサッカーなのだ。実際、第21節の大分トリニータ戦では、前半のうちに0-3とされながらも、最終的には4-3での勝利を手にしている。
この第21節終了時点で、レッズの順位は3位。首位の横浜F・マリノスとは勝ち点4差、2位のサンフレッチェ広島とは勝ち点3差がある。
気になるのは、上位2チームとの得失点数の違いだ。
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