2012.11.02

【Jリーグ】史上初のJからの降格争い。土壇場で戦う鳥取の選手たち

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

Jリーグ残留に向けて残り2戦を戦うガイナーレ鳥取イレブン  J2リーグ第40節。10月28日、ロアッソ熊本に0-1で敗れた試合の夜、彼は味の薄いフルーツジュースをおかわりしながら言った。

「"このままだと降格"という緊張が続くと、やっぱり精神的に参りますね。自分は選手としては中堅の年齢。もし降格したら、先の人生も見通しが立たない。不安の中でサッカーをやっている状況ですよ」

 心境を吐露したのは、ガイナーレ鳥取の奥山泰裕(27)である。

 現在、J2で20位の鳥取(勝ち点35)は残り2試合、"Jリーグ脱落"を回避するために戦う。ライバルは19位の富山(35)、21位の岐阜(34)、22位の町田(31)。これまでは一度Jリーグに参入すれば最下位になろうとも落ちることはなかったが、今年から史上初、JFLとの入れ替えが行なわれる。JFLで準加盟のV・ファーレン長崎が優勝した場合(現在は残り3節で首位)、J2最下位クラブはJFLに降格するのだ。

「Jリーグクラブでなくなる」

 その現実は重い。テレビ放映権、スタジアム集客数、グッズ販売は急激に落ち込み、経営を続けられなくなる可能性もあるという。Jリーグでは過去、横浜フリューゲルスが消滅したことがあったが、それに等しい惨事になりかねない。選手たちは戦々恐々。鳥取はA契約(年俸480万円以上)の選手は一握りで、大半がB契約以下(年俸480万円以下)だが、その保証すらも失うことになる。

「与えられた試練をどう乗り切るか、人間として成長できると思います。ロアッソ戦は直前に右足内側足幅靱帯を軽く痛めて欠場したんですけど、最終節の福岡戦にはなんとか復帰して、必ずJリーグに残って見せますよ!」

 奥山は必死に前を向いた。