【名波浩の視点】初黒星の仙台。優勝争いに生き残るために必要なこと
今季は高いパフォーマンスを発揮している関口訓充。清水戦でも再三チャンスを作ったが......。 リーグ9戦無敗で首位を快走していたベガルタ仙台が、第10節の清水エスパルス戦で0-1と敗れ、今季初の黒星を喫した。
前節のサガン鳥栖戦も見ていて、仙台の守備の良さは再確認していた。というのも、「鳥栖の守備がいい。攻守の切り替えの速さ、密集の速さなどはJの中でもトップクラス」と話を聞いて見た試合で、確かに鳥栖はその評判どおりだったけれども、そんな鳥栖と比べてみても、仙台のほうがさらに守備への対応が速かったからだ。ずっと負けずに結果を出していたのは、やはりそうした守りで踏ん張れていたのが要因だと見極めることができた。
ただ、この日に対戦した清水は、これまで仙台が対戦してきたチームにはなかったほど、速いテンポでボールを回していた。そのテンポに、仙台はついていけなかった。「ついていけなかった」と言うと、仙台の選手たちからは「いやいや、そんなことはない」と否定されるかもしれないが、明らかに対応が遅れていたと思う。タテに挟むディフェンスが特徴にもかかわらず、ボールを持った相手を潰しに行く選手も、それを挟み込む選手も、ボールを奪取するタイミングに間に合っていなかった。
清水が最終ラインで左右にボールをスライドしながらビルドアップしていく組み立てに対しても、なかなかボールを奪えず、前線からのプレッシャーが次第にゆるくなっていった。結果、チーム全体のスピードも最後まで上がらないままで、その隙に清水のショートカウンターのような形から高木俊幸に攻撃の起点を作られ、大前元紀にゴールを奪われてしまった。
これで仙台は、ゴールデンウィークの3連戦で1勝1分け1敗。疲れもあるのだろうが、序盤戦ほどの勢いは感じられなかった。
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