【Jリーグ】一見の価値あり。広島・佐藤寿人の鮮やかにゴールを奪う技

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

8試合で7ゴール。得点ランクトップを走る佐藤寿人8試合で7ゴール。得点ランクトップを走る佐藤寿人 4月28日に行なわれたJ1第8節川崎対広島で、広島の佐藤寿人が2ゴールを決め、得点ランキングのトップに立った。佐藤はこれで計8試合7ゴール。シーズン序盤からハイペースでゴールを量産している。

 それにしても鮮やかな2ゴールだった。

 いずれも右サイドからのクロスに対し、DFの視野から消えるように走り込み、マークを外してワンタッチシュート。佐藤らしい、巧みな動きでゴールを陥れた。小柄なストライカーは、してやったりとばかりに語る。

「どちらも本当にいいボールを上げてくれた。川崎はクロスの対応が悪いことは分かっていたし、(センターバックに入った)イナさん(稲本潤一)は本来DFではないので、綻(ほころ)びが出てくると思っていた」

 実際、ふたつのゴールシーンはともに、佐藤が稲本の背後をとって走り込んだものだ。佐藤の1点目をアシストしたミキッチが言う。

「僕はヒサ(佐藤)がどこに走ってくるのかが分かっているし、どこに(クロスを)出せばいいのかが分かっている」

 同じく2点目をアシストしたファン・ソッコも、「寿人さんの動きがあったので、迷わず(クロスを)出せた」と振り返る。どちらも、佐藤が勝手にマークを外してくれるから、クロスを出すほうは楽なんだよ、と言わんばかりだ。

 また、広島の前線は「1トップ2シャドー」が基本だが、1トップを務める佐藤にとっては、2シャドー(2列目)との良好な関係もゴール量産の要因となっている。

 川崎戦で2シャドーに入ったのは、高萩洋次郎と石原直樹のふたり。高萩のようなパスを得意とするMFだけでなく、本来はFWの石原がそこに入ることで、佐藤との間で縦のポジションチェンジが生まれている。ボランチの森崎和幸が、その効果を語る。

「ヒサが引いてきたときに、裏に抜ける選手がいることで(相手に対して)怖さが出せる。ヒサひとりでは苦しいけど、直樹はFWなので裏へ抜け出せるし、そうすることで、ヒサへのマークも外れる」

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