サッカー日本代表が守り倒した韓国戦に見る森保監督の本質 この戦い方に未来はあるのか (2ページ目)
【サッカーの志向を分ける試合だった】
想起したのは前々日に行なわれた女子の日韓戦だ。試合展開がそっくりだったからである。前半37分、日本はMF成宮唯のゴールで先制するが、ボール支配率は50対50でまったくのイーブン。後半半ばを過ぎると地元韓国が攻勢を強め、後半41分、同点弾を浴びるという展開の試合だった。
試合後の会見で、終盤同点弾を許したことについて、ニルス・ニールセン監督に次のような質問が飛んだ。
「終盤、勝利を考えれば、つまらない手段に打って出る手もあったと思いますが、それをしなかったのはなぜですか」と。つまらない手段とは5バックにするなどの守備固めを意味する。
「確かにそうした守備的志向を重視した試合の締め方はあると思いますが、私は選択しなかった。本当に主要な大会では重要になるかもしれませんが、ここでは守備的にいくより2点目を奪うことを考えました。この大会では我々の強みであるビルドアップを生かした戦いを最後まで追求したかった」(ニールセン監督)
一方、男子の日本人監督は同じ状況で守備的精神を露わにした。違いがわかりやすいのは後半32分、WBの相馬に代えて左のCBとして植田直通を投入した交代だ。その結果、それまで3バックの左を務めていた古賀太陽が左WBに回ったわけだが、これで左からのサイド攻撃はまったく期待できなくなった。まさしく専守防衛。得点のルートを自ら半分削るような超守備的サッカーに転じた。
同じ日本代表監督でも韓国戦の采配でこれだけの違いがあった。しかも、戦力で競った関係にあったのは男子ではなく女子だった。女子の韓日戦を見た後、帰路につくバスには日本人の観戦者も数多くいて、なかにはニールセン監督の采配に疑問を呈する声も聞かれた。「なぜ守備を固めなかったのか」と。そうしたタイプの人は、1-0で逃げきりに成功した男子の結果には満足しているものと思われる。
あなたはどちら派か。E-1選手権の男女の韓国戦は、サッカーの志向を決定づける踏み絵のような試合だった。
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