サッカー日本代表に膨らむ疑問――新陳代謝が進まぬチームをよしとする森保監督の言葉に萎えた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 何となく悟ってはいたことでも、あらためてはっきりと口にされてしまうと、正直萎える。

「大幅にターンオーバーすることが、選手のコンディションを考えたら、もしかしたら正解かもしれないが、トレーニングでゼロに戻してイチから始めることが、勝利の確率を上げられることになるのか。最終予選に関してはできるだけ選手を変えずに、前の試合で経験したことを積み上げて、次の試合に生かせるように、と考えている」

 オーストラリア戦後の森保一監督の言葉である。

 次回ワールドカップ出場へ向け、アジア最終予選を戦う日本代表は、4試合を終えて3勝1分けとグループ首位に立っている。

 3戦全勝で迎えたオーストラリア戦にしても、今回の最終予選で初めて失点し、相手にリードを許す展開になったものの、それでも1-1の引き分け。全6カ国が2回戦総当たりで争うグループにあって、勝ち点10の日本は2位以下に勝ち点5以上の差をつけ、早くも独走態勢を固めつつある。

 もちろん、この先何が起きるかわからないのは事実だが、"1強"状態の日本が大きく順位を落とすとは考えにくい。8大会連続となるワールドカップ出場へのカウントダウンは、ハイスピードで進んでいる。

 ただその一方で、日本の強さが際立つほどに、以前からあるひとつの疑問がさらに大きく膨らんでいる。

 すなわち、「常にベストメンバーを集め、同じメンバーで戦い続けることがいいことなのか」、という問いである。

 これまでの最終予選4試合を振り返ると、直近のオーストラリア戦で遠藤航がコンディション不良により先発はもちろん、登録メンバーからも外れたアクシデントを例外とすれば、鎌田大地と久保建英が2試合ずつ先発出場の機会を分け合った以外、先発メンバーの顔ぶれはすべて同じ。それどころか、交代出場する選手さえも、ほぼお決まりというのが恒例である。

最終予選4試合を、ほぼ同じメンバーで戦っている日本代表 photo by Sueishi Naoyoshi最終予選4試合を、ほぼ同じメンバーで戦っている日本代表 photo by Sueishi Naoyoshiこの記事に関連する写真を見る

1 / 2

フォトギャラリーを見る

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る