サッカー日本代表の攻撃的3バックシステムが中国戦で機能した理由 林陵平が深掘り解説

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林陵平のフットボールゼミ

サッカー日本代表がワールドカップアジア最終予選の初戦で中国に7-0と圧勝。両ウイングバックにアタッカーを起用する攻撃的な3バックシステムが注目されたが、この戦い方のどこがよかったのだろうか。人気解説者の林陵平氏に分析してもらった。

【動画】林陵平深掘り解説 日本vs中国フルバージョン↓↓↓

【外からの攻撃がうまくいった】

 最終予選ではどのシステムを採用してくるかと見ていましたが、中国戦の初期配置は3-4-2-1でした。これがすごくハマりました。

サッカー日本代表は中国に7-0と圧勝した photo by Getty Imagesサッカー日本代表は中国に7-0と圧勝した photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 立ち上がりから日本のペースになりましたが、中国は4-4-2を採用し、前からプレッシングをかけるというより、リトリートした状態で4-4-2のブロックを組んできました。それに対して日本は、攻撃時は基本的にもう3-2-5の形。4-4-2に対して位置的優位を取りやすい形でした。

 中国は中央を締める状況で守っていたので、日本は真ん中のスペースを使うのはなかなか難しかったです。2トップが日本の3バックにあまりプレッシャーをかけず、引いて全体の陣形をコンパクトにしてきました。

 そのため、遠藤航と守田英正のふたりのボランチのところにスペースがなかった。そこで途中からは遠藤がアンカーになって残り、守田は前に出ていくようなポジション取りになっていました。

 あとは板倉滉と町田浩樹ですが、とくに町田は、外の三笘薫がフリーなら結構簡単にボールを預けていましたが、これはすごくいい判断だと僕は思いました。よくドリブルで相手を引きつけてからパスを出せという話があるんですが、三笘に関してはフリーならすぐにボールを預けたほうが、前向きな状態を作れてよさを出しやすい状況でした。

 日本の攻撃は左右で違っていて、右は堂安律も久保建英も左利きで、縦に仕掛けるよりもカットインが得意で、ふたりのポジションチェンジがスムーズでした。ふたりは近い距離に置くと関係が非常によくなります。お互いを意識しているし、波長が合うのかなと。

 左で効果的だったのは三笘の縦の仕掛けですね。中国は三笘に対して基本的にはふたりでマークにつくんですけど、それでも三笘はそれを剥がせてしまいます。この能力はさすがだなと感じました。中国に中央を締められた分、外をうまく使って攻撃できるかが試されたんですが、うまくいったと思います。

 また、前半12分にCKからゴールを決めたのは、非常に大きかったですね。やはり最終予選なので、ピッチに立っている選手たちはすごくプレッシャーを感じていたと思いますから、先制点で気持ちはラクになったでしょう。

 前半アディショナルタイムの2点目は、マンチェスター・シティなどでもよく見るのですが、逆サイドのポケット(ペナルティーエリア内の両サイドのスペース)を突く形ですよね。4バックの泣きどころでもあるんですけど、一方のサイドで起点作った時に逆サイドの相手DFの背中を突く。右の堂安のクロスから左の三笘がヘディング。このあたりはゲームプランとして、片方のウイングバックから逆サイドのウイングバックという形はすごく狙っていたのかなと思います。

 あとは同サイドのポケットですよね。ここをどういう風に取りに行くかをもう少しチームとして共有できていれば、相手を崩すより効果的な攻撃ができます。味方がボールを持った時に、誰がどのタイミングで動き出すかというところまで設計されていると、もう少し再現性がある形で深い位置を取れていたのかなと思いました。

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著者プロフィール

  • 林 陵平

    林 陵平 (はやし・りょうへい)

    1986年9月8日生まれ。東京都八王子市出身。ジュニアからユースまで、東京ヴェルディの育成組織でプレーし、明治大学を経て2009年に東京ヴェルディ入り。レフティの大型FWとして活躍した。10年に柏レイソルに移籍し、11年にJ1優勝を経験。その後、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、再び東京Ⅴ、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬でプレーし、20年に現役を引退。Jリーグ通算300試合出場67得点。現役時代から海外サッカー通として知られ、メディア出演多数。現在はプレミアリーグからJリーグまで幅広く解説を務め、トップランナーとして活躍中。

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