パリオリンピック初戦大勝の大岩ジャパン パラグアイを苛立たせた小柄なアタッカーたちの俊敏な動き (3ページ目)
10人の相手から、なかなか追加点を奪えない悪いムードを立ちきる、まさに試合を決めたワンプレー。ゴールを決めた三戸もすばらしいが、この試合でいちばん光るプレーは、斉藤の左足からくり出されたフワリとした優しい折り返しになる。
斉藤はこれ以外にも同じステップを2度繰り出している。十八番にしている感じである。三笘薫の域に迫る高度なワザだ。A代表に入れたくなるアクションである。
他方、苦しい展開に追い込まれそうになった原因は何か。パラグアイの個人能力の強さを外的要因とするならば、1トップ細谷のプレー機会の少なさが内的要因になる。カウンター時はともかく、遅攻になった時、パスワークに絡む機会が少ない。筆者は幾度となく指摘してきたが、改善されたとは言いがたい。
細谷の能力は認めるが、チームとして機能しているとは言えない。この日、右ウイングとして交代出場し、2ゴールをマークした藤尾を1トップで使うという選択もあるだろう。
中央にボールが収まらないと攻撃に迫力が生まれない。ウイング攻撃ばかりでは真の展開美は生まれない。次戦、マリ戦に期待したい。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
フォトギャラリーを見る
3 / 3