パリオリンピック初戦大勝の大岩ジャパン パラグアイを苛立たせた小柄なアタッカーたちの俊敏な動き (2ページ目)
【斉藤光毅の見事なワンプレー】
スタメンには以下の11人が並んだ。
GK小久保玲央ブライアン、左SB大畑歩夢、右SB関根大輝、CB木村誠二、高井幸大、守備的MF藤田譲瑠チマ、インサイドハーフ山本理人、三戸舜介、左ウイング斉藤光毅、右ウイング平河悠、CF細谷真大。
なかでも効いていたのは三戸だった。この左のインサイドハーフは松木玖生(移籍もあって招集外)がこれまで務めてきたポジションである。ウインガータイプの三戸を松木に代わって起用したわけだが、この作戦が的中した。
後半29分、三戸は斉藤、山本とともに、お役御免の交代で、ベンチに下がった。代わって投入されたのは荒木遼太郎、川﨑颯太、藤尾翔太で、インサイドハーフには荒木と川﨑が入った。ともにパッサータイプである。荒木は今季、アタッカー色を強めているとは言え、その点では三戸に劣る。
スペイン代表に置き代えれば、荒木、川﨑はペドリであり、三戸はダニ・オルモとなる。当初はスタメンを張ったのはペドリ。ダニ・オルモはそのペドリがケガしたためにスタメンを張ることになった代役だったが、ダニ・オルモの出場時間が多くなるほど、スペインのサッカーは活発になった。ウイングもできるダニ・オルモの俊敏かつ神出鬼没なドリブルワーク、ステップワークが、相手を苦しめることになった。
三戸を選択した大岩剛監督にダニ・オルモのイメージがどれほどあったかは定かではないが、164センチの小柄なアタッカーの俊敏な動きが、172センチの右ウイング平河、170センチの左ウイング斉藤ともども、パラグアイを苛つかせていたことは確かだった。
だが、繰り返すが試合は後半18分まで1-0で推移した。パラグアイは退場者を出しながらも踏ん張り、時に日本を慌てさせた。
均衡を破るゴールを決めたのは三戸だったが、完璧なお膳立てをしたのは斉藤だった。左の最深部からバレーボールのセッターが送るトスのような折り返しも見事だったが、何と言ってもこの日のハイライトは、その直前で見せた右足(後ろ足)から左足にグイと切り返しながら前進するフェイントになる。お見事のひと言だった。
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