パリ五輪でのなでしこジャパンのメダルに期待 28年前のアスリート優位状況からテクニック&戦術の時代へ
連載第6回
サッカー観戦7000試合超! 後藤健生の「来た、観た、蹴った」
なんと現場観戦7000試合を超えるサッカージャーナリストの後藤健生氏が、豊富な取材経験からサッカーの歴史、文化、エピソードを綴ります。今回は、パリ五輪を控える「女子サッカー」について。なでしこジャパンのメダルへの展望や、1996年アトランタ大会でスタートした五輪女子サッカー当初の様子も紹介します。
【なでしこジャパンは2つのシステムを使いこなす】
女子日本代表(なでしこジャパン)が、パリ五輪前最後の強化試合でガーナ代表を相手に4-0で快勝した(7月13日・金沢ゴーゴーカレースタジアム)。
なでしこジャパンはパリ五輪に向けてガーナと強化試合を行なった photo by Fujita Masatoこの記事に関連する写真を見る ガーナが前半のうちに退場者を出してひとり少なくなったが、4バックでスタートした日本は、その後攻めあぐねてスコアレスで折り返す。後半は、3バックに変更したことで攻撃が活性化し、51分に田中美南のゴールで先制すると、藤野あおばの直接FKなどで得点を積み重ねた。
男子の日本代表は6月のシリア戦で前半は3バック、後半は4バックで戦ったが、まだまだぎごちないところがある。だが、女子代表はもともと4バックで戦っていたのを、2023年W杯に向けて池田太監督が3バックに挑戦。3バックでW杯を戦ったあと、再び4バックも試してきた。
池田監督によれば、ガーナ戦でも前半のうちに変更しようかとも思ったが、「4バックのまま選手の反応を見た」そうだ。その言葉からは、2つのシステムを使いこなせるという自信を感じる。
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著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。