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明神智和が分析するパリ五輪「日本が本気でメダルを目指すのであれば、OAの力は必要」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki

 もし自分がOAを選ぶとしたら......、やっぱり経験がある選手、たとえば、遠藤航選手(リバプール)とかも思い浮かびますけど、アンカーは藤田選手でいいかなと思ったりもしますし......。

 いてほしい選手はたくさんいますけど、3人しか呼べないとなったら、後ろ1枚と前2枚かな。後ろは冨安健洋選手(アーセナル)、前は三笘薫選手(ブライトン)。もうひとりは......FWの上田綺世選手(フェイエノールト)か、サイドの伊東純也選手(ランス)か......。いずれにしても、後ろと前に個でいける選手がいたらいいなって、ファン目線で思います」

 24年前と比べたとき、U-23世代であっても海外組が増加、いや、激増したことも大きな変化と言えるだろう。明神自身は「当時はほとんど考えたことがなかった」という海外移籍も、今ではキャリアアップのための当たり前の手段となっている。

「僕らの頃は、まだ(海外組は)ヒデさんくらいでしたし、オリンピックで活躍して世界に見てもらえたら(海外移籍できるかもしれない)、というくらいの感じでしたけど、今はもう考えがまったく違うと思います。

 海外組の選手は、日常から高いレベルでいろんなタイプのチームや選手と対戦しているので、そこに対しての戸惑いや違和感、もっと言えば劣等感だとか、そういうものがまったくない。

 個の力が上がっているのはもちろん、それをチームに還元できるということも含めて、海外組が増えていることのメリットは大きいと思います。

 ただ、同時にデメリットもあって、簡単に選手を代表活動に招集できなくなっている。それはもう、たぶん現場だけでどうにかできる話ではないのでしょう。

 Jリーグであれば、1クラブごとの招集人数に制限はあっても、どこのクラブも協力してくれると思いますけど、海外のクラブになると、その交渉がどうなるかギリギリまでわからない。OAを誰にするかも含めて、そこは一番大変だと思います」

 パリ五輪で男子サッカーのグループリーグ初戦が行なわれるのは、7月24日(現地時間)。24年前と同じく、今大会も開会式に先駆けて競技がスタートする。

 日本が56年ぶりのメダル獲得を目指す戦いの火ぶたが切って落とされるまで、あとわずか。明神もまた、若き日本代表の戦いを楽しみにするひとりである。

「オリンピック本番は、とにかくベストなコンディションで臨んでほしい。ちょっとしたケガとかはあると思いますけど、体も心も最善の準備をして、本当に一番いい状態で初戦を迎えてほしいな、と思います。

 自分の経験からも、カギとなるのはやっぱり初戦。メダルを獲るにしても、まずグループリーグを突破しないことには始まらないですから。初戦で対戦するパラグアイも力のあるチームだと思いますけど、そこできっちり勝ち点3を取ることが、メダル獲得への第一条件になるでしょう。

 その後は、もう総力戦。かなりの暑さのなかで強度の高い試合を続けることになると思うので、交代も含めて18人全員の力が必要になると思います」

(おわり)

明神智和(みょうじん・ともかず)
1978年1月24日生まれ。兵庫県出身。1996年、柏レイソルユースからトップチーム入り。長年、主将としてチームを引っ張る。その後、2006年にガンバ大阪へ移籍。数々のタイトル獲得に貢献した。一方、世代別の代表でも活躍し、1997年ワールドユース(ベスト8)、2000年シドニー五輪(ベスト8)に出場。A代表でも2002年日韓W杯で奮闘した。国際Aマッチ出場26試合、3得点。現在はガンバ大阪ユースコーチを務める。

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